プロレス好きか、親子で一緒に見るかの二択しかない家族映画。子役の可愛さ7割、プロレス3割で構成されています。41点(100点満点)
パパのしごとはわるものですのあらすじ
まぶしいほどのスポットライトのなか、大歓声を浴びる大村孝志。人気も実力も兼ね備えたエースレスラーだったが、膝に大ケガを負って試合から長期離脱してしまう。それから10年、かつての強さを取り戻せないでいる孝志は悪役レスラーとなり、客席からブーイングを浴びる日々を送っている。
妻の詩織は変わらず応援してくれるが、孝志は自分の仕事を9歳になった息子の祥太に打ち明けられずにいた。だがある日、偶然から祥太にバレ、「わるもののパパなんて大嫌いだ」と言われてしまう。
しかし、そんな孝志に、名誉を取り戻すチャンスが訪れる。かつての孝志に憧れていたトップレスラーのドラゴンジョージが、孝志をタイトルマッチの相手に指名したのだ。自らのプライドと家族への愛のために、全く勝ち目のない戦いに立ち上がる孝志。果たして、孝志が決意したすべてを賭けた危険な技とは? そして息子との絆を取り戻すことは出来るのか──?
公式サイトより
パパのしごとはわるものですのキャスト
- 棚橋弘至
- 木村佳乃
- 寺田心
- 仲里依紗
- オカダ・カズチカ
- 田口隆祐
- 真壁刀義
- バレッタ
- 川添野愛
- 大泉洋
- 大谷亮平
- 寺脇康文
パパのしごとはわるものですの感想と評価
藤村享平監督による、板橋雅弘と吉田尚令の絵本を基にしたプロレスファミリードラマ。親子で見るにはいいけど、大人にはベタで幼稚な物語です。
嫌味がないので不快にさせられることはないですが、面白いかと言ったら、いまひとつな映画です。
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物語は、小学生の息子に内緒でヒールの覆面プロレスラーを続ける父親が怪我や息子の偏見に苦しみながらも大好きなプロレスと向き合っていく姿を描いていきます。
最初はお父さんの職業がプロレスラーなんて普通に格好いいし、隠す必要ないじゃんと思いましたが、リングネームがゴキブリマスクというのを聞いて合点がいきました。
反則技はしょぼいし、普段からプロレス関係者にはゴキブリ呼ばわりされているしで、クラスメイトの反応を過剰に気にしてしまう小学生からしたら、できるだけ人には言いたくないのが子供心。
そこで息子の祥太はクラスメイトには、お父さんが花形のプロレスラーなどと嘘をついたり、好きな女の子の気を引こうと人気レスラーのサインを盗もうとしたり、劣等感や羞恥心のはざまで揺れます。
一方のプロレスラーである父親の大村孝志は膝に深刻な怪我を抱え、引退も考えているほど。そんなときに息子にゴキブリマスクであることがバレてしまい、息子がふてくされたり、嫌な顔をしたりする姿を見たことで、なおさら辞めて普通の仕事に就こうと考えるのでした。
そんなときひょんなことから大村孝志のもとに最強のプロレスラーを決める大会の出番が回ってくる、というのがストーリーの流れです。
内容はミッキー・ローク主演映画「レスラー」のファミリー版といった感じで、職業についても、家族との関係についても表面的に描いているだけです。
絵本が元ネタなので教訓や教育っぽい内容になっているかと思いきや、そこまで父親の職業に誇りを持ちましょう的な話に終始していなかったですね。それよりもプロレスと子役の可愛さにフォーカスしている印象が強かったです。
それに対して俳優ではなく、プロレスラー役に本物のプロレスラーを起用している点においては評価できます。
おかげでプロレスのシーンは様になってるし、ちょっと筋トレしただけの俳優を使った試合を見せられるとかじゃないので、プロレスに対する愛情やリスペクトは感じました。
演技のレベルは高くないけれど、俳優にちょろっと練習させてただけの「クリード」や「あゝ、荒野」なんかよりは全然ましですね。
一つ気になったのは日本のドラマや映画の子役の使い方です。本作では寺田心君が出演していますが、結局誰が出たところでいつも子役に監督が求めているものがワンパターンで、可愛くて家族想いのいい子ちゃんしか描けないのかよって思いますね。
だからそれに応えようと同じような純粋無垢のキャラで、同じような感動ポルノ演技ばかりさせられている子役俳優たちが不憫で仕方ないです。
そのせいか日本で天才子役って呼ばれるような子ってお利口さんのイメージしかないでしょ。とんでもない憎たらしい悪ガキキャラで人気に火が付きましたっていう話、あんまり聞かないよね。
この映画の祥太みたいに父親の職業に対する偏見をいとも簡単に克服して、微妙な大人の事情も察しながらお父さんを陰から応援するなんて気の使い方とか思考回路が子供じゃないもん。
いかに大人が理想の子供像を子役に押し付けてるかが分かりますよね。自分もかつて子供だったはずなのになんであんなに嘘っぽい子供ばかり描くんだろう。
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