下手などもり演技と、下手な歌と、下手なギターをたっぷり見せられる下手下手映画。ヒロインの態度と行動がただただむかつきます。2点(100点満点)
志乃ちゃんは自分の名前が言えないのあらすじ
高校一年生の志乃は上手く言葉を話せないことで周囲と馴染めずにいた。ひとりぼっちの学生生活を送るなか、ひょんなことから同級生の加代と友達になる。
音楽好きなのに音痴な加代は、思いがけず聴いた志乃の歌声に心を奪われバンドに誘う。
文化祭へ向けて猛練習が始まった。そこに、志乃をからかった同級生の男子、菊地が参加することになり・・・。
志乃ちゃんは自分の名前が言えないのキャスト
- 南沙良
- 蒔田彩珠
- 萩原利久
- 山田キヌヲ
- 奥貫薫
志乃ちゃんは自分の名前が言えないの感想
湯浅弘章監督による吃音症の女の子を主人公にした学園ドラマ。押見修造の同名漫画の実写化です。
ツイッターで2018年のベスト邦画の一つにこの映画を挙げている人が多くて、気になっていたんですが、ふたを開けてみたらごくごく普通の低レベルな学園ものでした。
主人公に障害を与え、あるいは病気にさせて苦しんでいる姿を見せて、同情を誘っては感動に持っていこうとする、ベタで下手な監督がよくやる手法をそのままなぞっただけの作品です。
自意識の塊みたいな女子高生が110分ウジウジしてるだけで、いいエピソードも、悪いエピソードもなにもなく、ただただ学生が学生してるだけの内容になっていました。
これを新人女性監督が撮りましたっていうなら分かるんですよ。女性漫画家が書いたっていうならまあしょうがないかって。
だけど実際はいい歳したおっさんが撮って、また原作もおっさんが書いてるからね。普通に気持ち悪くない?
物語は、どもり症の女の子、志乃が高校に進学し、自分のしゃべり方を馬鹿にされることを恐れ、なかなか学校に馴染めない様子を描いていきます。
そんな志乃はある日、同じくあまり周囲と馴染めていないクラスメイトの加代と仲良くなり、ノリで一緒にバンドをやることになります。
ギターを弾くのは加代で、あろうことか歌うのはどもりの強い志乃。志乃は、緊張さえしなければ、歌っているときにはどもりがなくなり、ありのままの自分でいられるようです。
二人はバンド結成からまもなくして路上パフォーマンスを慣行し、モチベーションもアゲアゲになって、文化祭の歌唱コンテストで演奏することを目標にする、というのがストーリーの流れです。
それにしても今更、学園ものの映画を撮って文化祭をクライマックスに持ってくるっていう発想はどこから湧くのかな? 監督さん、他の学園ドラマ見たことないんですかって話じゃん。
また、この薄いストーリーになんとかドラマを作ろうとして出してきたエピソードが、ヒロインの志乃が自暴自棄になってバンドを途中で投げ出すっていう、なんのアイデアも捻りもない展開になっていて、もうお手上げでした。
いいですか。そもそも誰も志乃にバンドやれ、文化祭で歌えとか強制してないんですよ。お前が勝手にやりだしたんだろ。それを「私、もう辞める」みたいになった志乃を同級生が必死になって止める気持ちが分からないんですよ。やるもやめるもノリで始めた趣味だし。部活ですらないし。
「いいみんな、私もう趣味の音楽辞めるからね。追いかけてきても無駄よ」ってことでしょ? 知らねえよ、ボケ。勝手に辞めろよ。なんでお前は期待されてる態で話を進めてるんだよ。
一事が万事この調子でストーリーは前進していき、時間とともにキャラクターの自意識レベルが高くなっていくような演出になっているのがうざいです。
あれで志乃がめちゃくちゃな歌唱力があって、才能溢れる女子ならまだ分かるんですよ。どもりはあるけど、マイクを握らせたらすごいよっていう子なら、見てみたいじゃないですか。なのに普通に下手だからね。
逆に友達の加代は音痴っていう設定なんですよ。それがまた尋常じゃない音痴で、そんな音痴、この世にいねえだろっていうレベルにしてるんです。
どもりのレベルも度を越してるんですよ。「ご、ご、ご、ごめんなさい」とかならまだ分かります。
でも「すごい」っていうときに「う、う、う、う、す、す、す、すごい」ってなぜか「う」から始めたりするからね。「あ、あ、あ、ありが、サンキュー」とか言い出すからね。それ、どもり以前の問題だろ。
どもりも音痴もそんなふうに極端に描いているくせに見せ場の歌唱シーンは普通っていうのが残念すぎますね。なんで志乃役を歌唱力抜群の女優にしないのよ。そこだけ現実路線ってマジか。
そのせいで最近始めましたみたいなギターと歌を映画の中で結構な時間聴かされる罰ゲームになってましたね。
クライマックスの文化祭でのコンサートはもはやコントでした。予算がなかったのか、田舎の学校だから生徒が少ないっていう言い訳なのか観客(エキストラ)の数がそもそも少ないし、そんな盛り上がっていない観客の前で、音楽ド素人の女子高生がプロ顔負けな態度でこんなことを言い出すんですよ。
「今日は本当なら私がギターを弾いて、私の友達が歌うはずでした。私が曲を作って、その子が詞を書いて、二人で歌を作って歌おうと。でもそれは叶いませんでした。だから私は一人で曲を作りました。詞を書きました。今までずっと作れなかったんですけど、初めて歌を作りました。私は一人で歌います。聞いてください。(曲名は)『魔法』」。
いやいや、見ている生徒からしたらお前とお前の友達の関係のこと知らねえし、いいから歌えよって話じゃん。どこの誰が、一度も聞いたことのない素人の曲が誕生した経緯を知りたいよ。志乃にしろ、加代にしろ、なんなのこの勘違いは?
それでいざ歌ったらめっちゃ下手だからね。こいつらまじで腹立つなぁ。多分、どこのクラスにもいるんじゃないかぁ、こういう被害者意識と自意識の塊みたいな奴。控え目なのか、大胆なのか、自信がないんだか自信満々なのかブレブレな女子。
それで生徒みんなの前でいきなり大声で泣き出して、「私だってつらいんだから」みたいなこと言い出す奴。
中学時代にいたわ、そういうタイプ。ああ思い出した。思い出しちゃったよ。
中学三年の時、修学旅行で広島の原爆ドームに行って、被災者の人から戦時中の話を聞いたんですよ。
そのときはケロっとしてた一人の女子生徒が、被災者の方への質問の時間になったら、真っ先に自分から挙手してみんなの前に出て行って、マイクを握った瞬間にいきなり号泣し出すっていうなかなかの芸当をやってのけたんです。
それでマイクだけ握りながら嗚咽だけ吐いて、結局質問せずにまた元の場所に戻っていったっていうね。そこにいた僕らはお前の嗚咽待ちですか?
泣くタイミングも全然分からないんだけど、そんなに感情揺さぶられてるんだったらわざわざみんなの前に出て来なきゃよくない? トイレにでも行って泣いて来ればいいじゃん。なんでマイクにエコーかけて、わざわざお前の泣き声を会場に響かせてんだよって。
嫌いなんですよ、こういう女子。この映画の志乃と加代のモデルはその女子生徒なんじゃないかなって思うんだけど、違います?
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