女子中学生の心境をリアルに描いた学園コメディードラマ。ティーネイジャーにはいかもしれないけど、大人が見る映画じゃないです。44点(100点満点)
エイス・グレードのあらすじ
ケイラ・デイはミドルスクールの生徒として最後の1週間に突入していた。ケイラはYouTuberとして活動していたが、彼女が投稿した動画はほとんど視聴されることがなかった。
ケイラは友達を作ることができずに悩んでいたが、クラスメートたちはそんな彼女の苦悩なぞつゆ知らず、ケイラを「最も物静かな中学生」呼ばわりするありさまであった。
シングルファーザーとしてケイラを育ててきたマークも娘の現状には苦悩させられており、ネットに入り浸る娘をどうにかしようとあれこれ手を尽くしていたが、尽く失敗に終わっていた。
そんなある日、ケイラはクラスメートのケネディからプール・パーティーに招待された。ケネディは母親の命令で嫌々ケイラを招待したのだった。久しぶりに大勢の人のなかに入ったケイラは不安に襲われたが、何とか克服することができた。
wikipediaより
エイス・グレードのキャスト
- エルシー・フィッシャー
- ジョシュ・ハミルトン
- エミリー・ロビンソン
- キャサリン・オリヴィエ
- ジェイク・ライアン
- ルーク・プラエル
- ダニエル・ゾルガードリ
エイス・グレードの感想と評価
ユーチューバーであり、コメディアンのボー・バーナム監督のデビュー作品。高校進学を直前に控えた、さえない女子中学生の淡い青春ドラマです。
系統は、「レディ・ハード」、「マイ・プレシャス・リスト」、「スウィート17モンスター」などと同じで、イケてないティーネイジャーが学校や友達の前で背伸びしたり、盛大に滑ったり、恥ずかしい思いをしたりする様子をコメディータッチで描いていきます。
ヒロインのケイラは、臆病で、恥ずかしがり屋。友達もおらず、決して学生生活を楽しんでいるとはいえない状況なのに自分のユーチューブ動画では視聴者に向かって自信をつけるにはどうすればいいのかといった自己啓発のアドバイスをしています。
そんな彼女はシングルファザーのお父さんに育てられていて、反抗期の真っただ中を現実とネットのギャップや思春期特有の強い自意識に苦しみながらもがいていきます。
クラスのヒエラルキーを気にして人気者のクラスメイトとどうにか仲良くなろうとする姿や男の子に気に入られるために性的に成熟な女を装ったり、学生あるあるエピソードの連続で特に女子中高生なら十分に共感できるんじゃないでしょうか。
アメリカの若者の間では「cool(イケてる) 」じゃないといけないみたいな強迫観念があって、それはちょうど日本の若者がオシャレじゃないといけないみたいな圧力を受けるのに似ていますね。
それでなんとなくみんなが思う「イケてる」人になろうと、マウントの取り合いや見栄の張り合いを繰り広げる学生文化をヒロインの視点からうまく表現していました。
ただ、あくまでも平凡な学園ドラマで、もうちょっと展開が欲しかったですね。大きな事件や誰かが死ぬ必要はないけれど、あのままだと少女がただ学校で友達を作る話だからね。成長を描いた、というには物足りないなぁ。
この分だと若者にはよくても大人が見たらそれほど楽しめないでしょう。僕からしたら年頃の娘のいるのお父さんは大変だなぁ、という印象しか残らなかったです。娘にどれだけ明るく接してもほぼ無視じゃないですか。
肝心な笑いもいまいちでしたね。自分のツボと合うかどうかはボー・バーナム監督のユーチューブチャンネルを見たらいいと思います。
こちらの動画ではプリングルズの筒の幅が狭すぎて手が入らないなどと歌っていますが、音楽と笑いを混ぜる芸風のコメディアンなんですね。
最近、この手のダメ女の子学園ドラマが続きすぎて飽きたというのもあります。なんで主人公はさえない男の子じゃなくて、いつも女の子なんですかね。そのほうが共感を得やすいのかな?
とにかく話はワンパターンだし、主人公のキャラクターは同じだし、自虐的な演出とか皮肉を笑いにしている部分ではどれも似てます。終盤、家族のいい話を持ってきて感動を作る手法もお馴染みですね。
それでもリアリティーがあって、学生の劣等感や葛藤はしっかり描けているので、邦画の学園ドラマと比べると、雲泥の差があります。
ヒロインにはその辺にいそうな、ニキビ面で小太りの女の子を起用しているし、美男美女でキャストを固めればいいや、というノリでは作ってないのでまだ見れるかな。現代の中学生の性事情とかもストレートに話題にしているのも好感が持てます。
いずれにしてもデビュー作でここまでのクオリティーに仕上げてくるのはすごいことですよ。それにボー・バーナム監督ってまだ20代だってさ。アメリカはどんどん若い監督が出てきますね。
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