未亡人たちが犯罪者の夫の後始末をさせられるクライムムービー。冷静に見ると、結構バカな話です。42点(100点満点)
ロスト・マネー 偽りの報酬のあらすじ
プロの強盗団のメンバーであるハリー・ローリングスは、警察とのカーチェイスの末、銃撃され、ほかの仲間とともに命を落とした。
一人残されたハリー・ローリングスの妻ヴェロニカはある日、犯罪組織のボスであり、市会議員として選挙を控えているジャマル・マニングに夫が組織の金を奪って逃げたことを知らされ、脅迫される。
その額は200万ドル。ジャマル・マニングは選挙活動の資金としてそれを使う計画だった。ジャマル・マニングの対抗馬には代々政治家のジャック・ムリガンがいる。
ジャック・ムリガンは生前のハリー・ローリングスと関わりがあり、妻のヴェロニカにも何か必要なことがあったら力になると言っていた。
脅しを受け、途方に暮れたヴェロニカはやがて夫が大事に保管していた事件の犯行計画をつづったノートを見つける。それは500万ドルを強奪する一大計画だった。
そこでヴェロニカはハリーの仲間たちの妻にコンタクトを取り、女だけで計画を遂行することを企むが、、、、、
ロスト・マネー 偽りの報酬のキャスト
- ヴィオラ・デイヴィス
- エリザベス・デビッキ
- ミシェル・ロドリゲス
- シンシア・エリヴォ
- リーアム・ニーソン
- コリン・ファレル
- ダニエル・カルーヤ
- ジョン・バーンサル
- ロバート・デュバル
ロスト・マネー 偽りの報酬の感想と評価
「それでも夜は明ける」、「SHAME -シェイム-」、「ハンガー」などで知られるスティーヴ・マックイーン監督による犯罪ドラマ。
犯罪者の夫と結婚した妻たちが、夫を亡くした後に自らの手で大仕事をやり遂げるまでを描いた「オーシャンズ8」のシリアスバージョンみたいな話です。
ストーリーは、プロの犯罪者である夫を亡くした妻が、夫が奪った金をめぐって犯罪組織から狙われるようになり、金に困って自らも犯罪に手を染めていく様子をつづっていきます。
テンポは良く、政治家と裏社会を絡めたストーリーは悪くないです。主人公が犯罪者の未亡人たちというアイデアも斬新ですね。BGMが効果的に使われていて、ドキドキするシーンもありました。
しかしながら女性キャラクターがインパクトに欠け、また話にリアリティーがないです。マジな話なんだけど、結構突っ込みどころがありました。
例えば主人公夫婦がヴィオラ・デイヴィスとリーアム・ニーソンの二人っていうのがまず似合わないじゃないですか。
年齢とか、人種とか、ルックスの問題じゃなく、ただただ二人がカップルなのが不自然ですよね。こんなに不釣り合いな夫婦役も珍しいよ。
未亡人のメンバーはヒスパニック系一人、ポーランド系一人、黒人二人という構成になっていますが、もうどうせならアジア人も一人入れて本当に「オーシャンズ8」みたいにしちゃえばいいんじゃないの?っていうぐらい中途半端でした。
女性たちが主人公の映画なのに一番インパクトを残したのは間違いなく殺し屋役を演じたダニエル・カルーヤでしょう。ダニエル・カルーヤは「ゲット・アウト」で主人公だった俳優です。
パフォーマンス的には申し分のない冷酷な殺し屋を見事に演じていた彼ですが、ストーリー的には政治家の右腕のような存在があそこまで暴力事件起こしたらすぐ問題になるだろって思いましたけどね。
政治家が犯罪にかかわるにしても、あまりにも手口が直接的すぎて、どんな時代のどんな世界の話だよっていうのがひっかかりました。
あんな大金を政治家の事務所に保管してるのも馬鹿げているし、大金を置いている割にはセキュリティーが甘すぎだし、もうちょっと全体的に凝った設定にしてもらいたかったですね。雰囲気は終始シリアスなのに結構ふざけてるもん。
ロスト・マネー 偽りの報酬のネタバレ
中盤にはちょっとしたサプライズがありました。死んだはずのヴェロニカの夫ハリー・ローリングスは実は生きていた、というものです。
爆発によって死亡したので死体がちゃんと確認されなかった、というのが言い訳なんでしょうが、現代の検死の技術を過小評価しているのはもちろん、大物犯罪者が地元でブラブラしてたらすぐ分かるだろって話ですよね。友達の家にいたりして、犬に気づかれてるぐらいだからね。
それに結局のところハリー・ローリングスが何がしたかったのかよく分かりませんでした。妻のヴェロニカとは一緒に子供を育てたぐらいなので少なくとも愛情はあったんだろうけど、自分を死んだことにして妻を騙してまで、やり遂げるほどの計画だったかなぁ? あんまりメリットなくない?
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