哲学的かつスリラーのような要素も含んだ牧師さんの話。ラストだけが心残りです。60点(100点満点)
映画「魂のゆくえ」のあらすじ
ニューヨークの小さな教会で牧師を務めるエルンスト・トーラー牧師は、自身の考えを年報に掲載する記事にまとめていた。トーラーは書き上がったものに満足することができず、それを破り捨ててしまった。
トーラーは従軍牧師としても活動していたが、息子のジョセフの戦死をきっかけに活動から退くことになった。ジョセフに入隊を勧めたのはトーラー自身であった。軍隊に送り出した以上、そうなる可能性も十分に覚悟していたとはいえ、トーラーの苦悶と自責の念は極めて強かった。
そんな折、トーラーはメアリーと出会った。メアリーはトーラーに夫のマイケルと面談するように頼み込んできた。マイケルは極端な環境保護論者であり、メアリーに中絶を勧めてくるのだという。
トーラーがその理由を問い質したところ、マイケルは「この世界は気候変動によって過酷なものになってしまい、もう元には戻れないでしょう。そんな世界に子供を産み落としたくないのです。」と答えた。
wikipediaより
映画「魂のゆくえ」のキャスト
- イーサン・ホーク
- アマンダ・サイフリッド
- セドリック・カイルズ
- ヴィクトリア・ヒル
- フィリップ・エッティンガー
- マイケル・ガストン
- ビル・ホーグ
映画「魂のゆくえ」の感想と評価
「ドッグ・イート・ドッグ」、「ラスト・リベンジ」などで知られるポール・シュレイダー監督による宗教ドラマ。アカデミー賞脚本賞のノミネート作品です。
主演は「6才のボクが、大人になるまで」、「ブルーに生まれついて」などにも出演したイーサン・ホークです。
静かでスローな演出ながら、ところどころでしっかり注意を引くエピソードを入れつつ、なんとか退屈にならない話に仕上げています。あー面白かった、というほどの面白さはないものの、先が気になって最後まで見れる映画でした。
物語は、小さな教会で牧師を務める男トーラーを追っていきます。トーラーはかつて結婚していましたが、妻の反対を押し切って息子を戦争に送り、死なせたことが原因で離婚に至った経緯があります。
そんな彼は常に自責の念を抱えながら孤独に暮らし、真剣に信仰と向き合って生きています。ある日、トーラーのもとに深刻な悩みを抱える夫を心配した女性メアリーが助言を求めてやってきます。
トーラーはさっそくメアリーの家に行き、夫マイケルの話を聞きます。マイケルは環境保護論者で、自然破壊が進むこの地球に絶望しているせいで妊娠中である妻の子供を中絶するべきだとさえ考えていました。
トーラーは、理詰めで人類の将来を悲観するマイケルにやや手を焼くものの、定期的に相談に乗ることでなんとか彼を救い出そうと試みました。
ところがある日、彼に呼び出されて待ち合わせ場所に行くと、そこでマイケルはライフルで頭を撃ち抜き自殺を遂げていたのです。
それをきっかけにトーラーと周囲の歯車が狂い始めます。やがて彼は環境問題と信仰に対して疑問を持つようになり、心が大きく揺らいでいく、というのがストーリーの流れです。
アカデミー賞脚本賞にノミネートされていることもあって、実際脚本はかなり優れています。無駄な会話がほとんどなく、今にも何かが起こりそうな予感を抱かせてくれます。ちなみにポール・シュレイダー監督は「タクシードライバー」の脚本を書いたことでも知られています。
トーラーとマイケルの会話のシーンなんて結構長いけど、さもありそうな会話だし、言葉の掛け合いが上手だし、聞けちゃいますね。
宗教VS環境問題というテーマも面白く、確かに突き詰めて考えると、環境破壊を見て見ぬふりしている人類は、神に背いているのではないかという考えも一理あって、なかなか興味深かったです。
特に教会は金儲けのために環境破壊を進んで行っている企業からも多額の寄付を受け取ったりしている矛盾点があったり、現代の宗教のあり方に一石を投じていました。
ストーリーの中にはいくつものサプライズがあって、最後はもしや恐ろしい方向に行くのではないかといったゾクゾク感まであります。
僕にとってはマイケルが自殺したのもサプライズだったし、その後の展開も全く予想ができませんでした。これはあらすじを見ないで見たほうがいい映画ですね。
また、ストーリーだけじゃなく、イーサン・ホークの演技も良かったです。イーサン・ホークは俳優として随分と成熟しましたねぇ。最近、渋い役ばっかりじゃないですか。
映画「魂のゆくえ」のラスト
ラストはあれなんでしょうね。終盤、トーラーは夫に死なれて未亡人になったメアリーと親しくなるんですが、訳あって教会の式典には彼女だけには来て欲しくなかったのに来ちゃうんですよ。ちゃんと来るんじゃねえって言ったのにですよ。
たまに「来るなよ。いいか絶対来るなよ!」って言ったのに来ちゃう女っているじゃないですか。それがフリだと勘違いする奴ね。
例えば「今、病気で寝込んでるから今日は一人にしてくれ」って頼んでも「心配だから来ちゃった」とか言って来るタイプ。、
ああいう人って来るなって言われても行っちゃう自分に絶対酔ってますよね。なんで来るんだよ、バカ野郎ってトーラーは発狂してたけど、僕も同じでした。できればもう一つのエンディングが見たかった。そう思わせるラストでした。
コメント
イーサンホークは大いなる遺産とトレーニングデイが印象深いですが、これは必ず観ようと思いました!
最後はメアリーが救った、救われてよかったぞトーラー。
いやーよかった。
見てよかった。