映像はすごいのにストーリーと編集でミスってるもったいない作品。確かに今でも見れるけど、面白くないから傑作とはいえないです。42点(100点満点)
2001年宇宙の旅のあらすじ
人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)
遠い昔、猿人が他の獣と変わらない生活を送っていた頃。ある日猿人たちの前に、黒い石板のような謎の物体「モノリス」が出現する。やがて1匹の猿人が謎の物体の影響を受け、動物の骨を道具・武器として使うことを覚えた。獣を倒し多くの食物を手に入れられるようになった猿人は、反目する別の猿人の群れに対しても武器を使用して攻撃する。一匹の猿人を殺害し、水場争いに勝利した猿人が、歓びのあまり、骨を空に放り上げると、これが最新の軍事衛星に変る(人類史を俯瞰するモンタージュとされる)。
月に人類が住むようになった時代。アメリカ合衆国宇宙評議会のヘイウッド・フロイド博士は、月のティコクレーターで発掘された謎の物体「TMA」(Tycho Magnetic Anomaly, ティコ磁気異常、通称「モノリス」(一枚岩))を極秘に調査するため、月面クラビウス基地に向かう。調査中、400万年ぶりに太陽光を浴びたモノリスは強力な信号を木星に向けて発した。
wikipediaより
読者のタライさん、あおたさんからのリクエストです。ありがとうございます。
2001年宇宙の旅の感想と評価
アーサー・C・クラークの短編小説「The Sentinel」から構想を得て映画化したSF超大作。
監督は「シャイニング」、「アイズワイドシャット」、「ロリータ」、「博士の異常な愛情」、「時計じかけのオレンジ」、「フルメタル・ジャケット」などで知られるスタンリー・キューブリックです。
1968年公開の映画ながら圧巻の映像美で視聴者を魅了する約2時間半にも渡る宇宙旅行で、公開当時に見た人が受けた衝撃は想像に難しくないです。
60年代の時点ですでにスカイプ(テレビ電話)、薄型テレビ、タブレット、AIなどのアイデアを持っているところはさすがとしかいいようがないし、映像技術に関しては現在の日本のSF映画よりもよっぽど優れていますね。
スタンリー・キューブリックの映像へのこだわりには脱帽します。宇宙船内のそれぞれの部屋の完成度など、いちいちデザイン力が高いですよね。でも映画監督というより、むしろカメラマンや画家といった印象を受けるんですよ。
「恋する惑星 」のウォン・カーウァイ監督とかもそうだけど、映像がどれもとにかく綺麗なのに肝心のストーリーがスローでつまらないっていう致命的な問題を抱えていて、この作品も例外ではないです。
ストーリーテリングについてはスタンリー・キューブリックはそれほど優れているとは思えないし、芸術家ぶってて鼻につくところが多いです。物語の中に必ずダレる時間帯が30分はあるでしょ? あれが嫌なんですよ。
「アイズワイドシャット」がほとんどダレないのは色気の力だし、「シャイニング」が楽しめるのはそこに恐怖があるです。つまりホラーや色気といった強い刺激がないとスタンリー・キューブリックはきついってことです。
それにしてもあのテンポの悪さはどうにかならなかったんですかね。冒頭の猿の下りに20分以上使う必要ありますか?あんなもん5分でいいじゃん。
さらにラストの無限の宇宙の彼方の下りでは3Dゲームみたいな映像が延々と続いて、目をそらさずにはいられません。ラストもあんなに時間をかけなくてもね。
ハラハラするのは人工知能のハルが反乱を起こす下りぐらいでしょうか。あれももうちょっとBGMで盛り上げてくれたらいいのに無音か機械がシューシューいうだけでせっかくの興奮が盛り上がらなくなっていましたね。
一方でうっとうしいクラシックを多用したり、あれにはちゃんとした意図があるというのはごもっともなんだけど、決して映画を面白くしてはないですよね。
この映画は傑作だ、なんだとよく持ち上げられますが、じゃあ毎年見たくなるかって言ったら見ないでしょ? だって長いもん。娯楽性に欠けるし。僕が見るのは今回で2回目で、もうできれば見たくないです。時間の無駄だから。
「時計じかけのオレンジ」とかも二度と見たくないもん。素晴らしい部分もあるのにそう思わせちゃうのがもったいないですよね。
視聴者の間でラストシーンの解釈など様々な議論を呼び起こしたという点においてはスタンリー・キューブリックの狙い通りでしょう。
しかしなんでああも難解なストーリーの深読み蟻地獄にみんなエクスタシーを感じちゃうんですかね。僕からすると、直接伝えてくれないことは結構どうでもいいんですよね。そんなの言わなくても分かるでしょ?みたいな人、現実社会にもよくいるじゃないですか。分かんねえよって。
もちろんときどきどんな解釈なんだろうって疑問に思う作品に出合うことはありますよ。でもテーマが神とか宇宙とか人類の進化とかあまりにも大きくなると、うぜえーってなるんですよ。学校の授業かよって。
2001年宇宙の旅の解釈と解説
ではこの映画は一体、どんなふうに解釈されているのか、巷で囁かれている人気のファンセオリーを簡単に紹介します。
人類の進化
人間がまだ猿だった時代、猿たちはウホウホいうだけで、ただのアホでした。食べ物は植物とか木の実ばかり食べていたんでしょうか。
そんな中、未開拓の土地の中に突如として謎の石板モノリスが現れます。猿たちは興味をそそられ、モノリスを囲み、それに触れます。
すると、一匹の猿が動物の死骸から骨を取り出し、それを道具として使うように進化を遂げるのでした。
道具を使って動物を簡単に殺す術を覚えた猿たちは肉を食べるようになり、その後の人間の習慣に大きな影響を与えます。
やがて猿のグループは水飲み場をめぐって別のグループに戦いを挑み、相手をこてんぱにやっつけます。
一匹の猿が雄たけびを挙げて骨を空に投げると、次の瞬間画面に宇宙船が映り、すっかり進化を遂げた人類の物語に突入します。
このことから人類の進化が一つのテーマになっていることが分かりますね。
モノリスが意味するもの
謎の石板モノリスは劇中で4回登場します。
- 猿人類の時代に猿たちの前に現れる
- 月面にあるのを人間たちに発見される
- 木星の衛星軌道上で現れる
- ベッドルームの中で現れる
モノリス地球外生命体による道具だと劇中で語られていますが、モノリスが登場する度に人類が新たなステージへと移行するのが分かるかと思います。
モノリスは猿の潜在意識を刺激し、道具の使い方を伝えたようにも見えますね。そして猿から人間に進化を遂げます。
月で現れたモノリスは、強力な信号を木星に向かって放ちます。それによって人類は木星へと動かされます。
そして人口知能のハルが暴走したことにより、ほかのクルーは死んでしまい、ボーマン船長だけが生き残ります。
木星探査を一人で続けようとしたボーマン船長の前に再びモノリスが姿を現し、ボーマン船長はスターゲイトを通じて異次元の空間へと吸い込まれていきました。
そしてラストにベッドの上で横になる、老いたボーマン船長の前にモノリスが出現し、ボーマン船長は人類を超越したスターチャイルドへと生まれ変わっていく、というのがストーリーの流れでしたね。
一見、人類は自ら発展を遂げたように見えますが、実はそのターニングポイントには必ずモノリスの存在があったということです。
あるいはモノリスに操られていたと考えられなくもないです。このことからモノリスを神だと考えることもできるし、あるいは宇宙人が創造した生物の劇的な進化を促す高度な機械だと解釈もできそうです。
神か、それともハイテクか。いずれにしても両極端な解釈にはなりますが、突き詰めていくとなんか宗教家か無神論者かみたいな話になってきますね。あるいはあれはただの壁だっていう解釈があってもいいかもしれません。どうせ答えなんてないんだし。
コメント
なるほど、初めてわかった。
何度となく観た映画ですが、僕はさっぱり意味不明でした。
ブログ読んで、なるほどそういうことだったのかとちょっとわかった気がします。
ようするに退屈でしょーもないってことですね。
やっぱり、オレの直感ってすごいなぁといま思う次第です。
直観大事ですよね。分からなくて普通だと思います。だって説明する気がないんですから。そういう映画は基本しょーもないですよね。
IMAX上映で観たんですけど、
やっぱりデカいスクリーンで観るに堪える映画っていいなぁと思ってしまいました。
あーいつ始まんだろう?って言うオープニングを抜けて、言わずもがな有名になってしまったオープニング、スクリーンプロセスの人類の夜明け、モノリスとの出会い(未知との遭遇?)、そしてHALの暴走。
細かなサウンドデザイン(うるさいとこもある笑)と映像美。ストーリーは薄いかもしれないけど、「ああ、映画館って、その為にあるのか」とまざまざと見せつけられた気がして、なんかめっちゃ感動でした。
なんか、うまく表現できんけど、分かりやすいだけの映画の方が面白いっちゃ面白いが、どっか幼児番組的で嫌にも思えてしまいますよね。
なかなか頃合いが難しいですよね。
まあ、この作品、色々狂ってることは間違いないっすよ笑笑
確かにわかりやすいだけだと幼稚になるし、難しすぎると退屈になるし、そのバランスが大事ですよね。まあ、最終的には好みの問題かなぁと思いますが。
この映画気になっていたので、見てみました。喋るシーン少ないし、退屈で途中でやめようと思ってしまいましたけど、なんとか最後まで見れましたけど、最後私にとっては、ホラーでしたよ…トラウマになってしまいました。映画男さんの記事を見てやっと理解出来ました。ありがとうございます。
ありがとうございます。途中でやめようと思うのは仕方ないです。ラストはホラーでしたね。
これはアトラクションと美術の融合なんだから。中途半端に理解しようとするのは一番ダメ。
ジェットコースターに乗ってある時は頭の中「うひょおおおおおおお(*゚∀゚)おおおおおおおおおうう、うひゃああああああ」
でしょ?
そこに解釈も考察も糞もない。
この映画って、映像素晴らしいのに
もったいないですよね。
ああも説明不足だと、
必死に考えたであろうせっかくの
ストーリーがそもそも無くなって
しまう気がします。
もはや小説版売るための策略とすら
思えてきてしまいますし。
それに、普通にこの映画好きで、
年一くらいで見るかなぁって言う
人たちが、
ネームと難解さだけにつられて
ドヤ顔してる連中と一緒くたにされて
しまったりするのも悲しい。
キューブリック監督にはもう少し
視聴者を意識して欲しかったと
思います笑
キューブリックは、視聴者無視の自己満映画が多いですよね。
同意します。
欧米の方と日本人の感性の違いなんかもあるのかもしれませんが見ててダルイのは間違いないしそれを、否定されたり判ってないとか言われるのも心外。
そんなこと言うと【否定なんてしてないよ】なんて言ってくる自称映画通が沸くのも鬱陶しいところ。
当時は凝った映像だったかもしれないが、映像の技術なんて日進月歩なんだから今観ると当然チープで解雇主義でもない私には評価できない。
つまりこの映画は時間の経過によって駄作に成り下がったと言える。
いい映画はどんな時代にみても素晴らしいはずだ。
SF映画は特に時間と共に劣化しやすいですよね。
若い頃リバイバルされたのを映画館で観ました。名作の誉高くワクワクして男三人で観て僕はその映像と音楽、猿が投げた骨が400万年をすっ飛ばして人工衛星になるシーン、後半の訳のわからぬ、トリップシーンなど難解なストーリーの中でも朧げながらこういう事なんだろうなと自分流に解釈するのも楽しく時間を忘れて見ていました。
一緒に見た2人は訳が分からず面白くないという感想でした。
今になってYouTubeで解説を見ると
キューブリックがわざと難解にするために説明のナレーションや説明的なシーンをカットした様です。
アーサーCクラーク、キューブリック共著の原作通りだとわかりやすいけどつまらない作品になったと思います。
わかりにくいからこそ話題になるというのは皮肉ですが。、
分かりにくいですねぇ。それをあえてやってるのは意地悪だなあ。
町山智浩の映画塾というYouTube動画でめちゃくちゃ詳しく解説しています。辛辣なキューブリック批判もw
表現が説明不足かつ前衛的すぎて、観てて難解というか訳わからないですが
映像の力で「なんかすげえ」と感じさせてくれる映画ではありました
主さんご指摘的の通り、キューブリックは映画監督というより映像作家なんですよね
絵作りや(深淵な宇宙への恐怖を感じさせる)雰囲気作りは抜群なのですが、
ストーリーテリングには向かないのだと思います
だから説明を極端に端折る編集をしてしまう
映像はいいんですけどねえ。