アカデミー賞女優が表舞台から消え、病気にかかって最後の時間を恋人とリヴァプールで過ごす様子を描いた駄作。登場人物にこれほど共感できない映画も珍しいです。17点(100点満点)
リヴァプール、最後の恋のあらすじ
1981年9月、ピーター・ターナーのもとに、かつて恋人だったグロリア・グレアムがランカスターのホテルで倒れたとの報せが飛び込んできた。
「リバプールに行きたい」と懇願するグレアムに、ターナーはリバプールにある自分の実家でグレアムを療養させる。グロリアはターナーの家族との再会やリバプールを懐かしんでいたが、自身の病状を話そうとはしなかった。彼女の主治医と連絡をとり、病状を確かめたターナーはグレアムの死が近いことを知る。
映画ドットコムより
リヴァプール、最後の恋の主なキャスト
- アネット・ベニング
- ジェイミー・ベル
- ヴァネッサ・レッドグレイヴ
- ジュリー・ウォルターズ
- ケネス・クラナム
- スティーヴン・グレアム
リヴァプール、最後の恋の感想と評価
ポール・マクギガン監督による、実在する女優グロリア・グレアムの最期を描いた闘病恋愛ドラマ。親のすねをかじる20代後半の男とわがままな女優が家族に迷惑をかける物語です。
ストーリーの大部分が男女が喧嘩したり、いちゃいちゃしたりするだけのつまらないやり取りで、グロリア・グレアムのことが何も見えてきません。
狙いとしては親子ほど年の離れた有名女優と若手俳優の年齢差を越えた無償の愛を描きたかったんでしょう。
しかしふたを開けてみると、二人ともポンコツすぎてとても感情移入なんてできない内容になっていました。
ストーリーも悪ければ、編集の仕方もうざいです。現在と過去を行ったり来たりさせる構成はまあいいでしょう。
でも5分先ぐらいの未来を映して、また現在に戻したりする手法を何度も使っているから見ていて鬱陶しい箇所が多々ありました。また、あの編集に作り手が酔ってるのが感じられて腹が立ちますね。
ストーリー的には57歳の女と20代後半の男が恋愛するのは大いに結構です。けれど恋人ががんを患ったときにこのバカ男は実家に彼女を連れて行って療養させるんですよ。普通両親と兄が住む家に末期がんの恋人を泊まらせる?
もちろん家族は猛反対するんですが、グロリア・グレアムは聞かないふりをし、ピーター・ターナーは「だって愛してるんだからしょうがないだろ」と言います。
そんなに愛してるなら、ちゃんと働いて自分で彼女が休める家を借りようかっていう話なのにピーター・ターナーは、そんなことは棚に上げて愛はすべてを正当化させるとでもいわんばかりに大きな態度で家族たちと対峙します。
その様子には飽きれるしかなく、感情論でしか議論できない奴の典型的なパターンを見て、イライラしましたね。
また、映画の中ではさもグロリア・グレアムが何か月も他人の家にお世話になったかのような描かれ方がされていたのに実際には6日間だったそうですね。まあ6日でも家族からしたらたまったもんじゃないだろうけど。
グロリア・グレアムはピーター・ターナーの家でお世話になる前にも散々わがままを言ったり、逆切れしたりして、かつて有名で大人気だった頃の栄光と自己イメージがなかなか抜けない病にかかっていました。
正直この映画の描写を見る限りでは彼女のどこにピーター・ターナーが惚れたのかが全く理解できないし、彼女の魅力的な部分に触れていません。
30歳も年の離れた男を前にグロリア・グレアムがおもむろに薄着になるシーンがあるんですが、ただ暑いからお着換えがしたいのかなと思いきや彼女なりのアピールだったようで、それに気づかない相手を見て、急にブチ切れだします。
「私が年寄りだからダメなんでしょ。だったらもういいわよ、早く出て行って」みたいにまくし立てる姿には引くしかなかったです。
こうしたら男は当然興奮するはずだ、みたいなことを思っている女ってたまにいますよね。その極端な例で、自分の誘惑行為がうまくいかないと切れるっていうのがある意味新しいです。斬新なセクハラですね。
本当にグロリア・グレアムってあんな人だったんですかね。なんか悪意あるんじゃないのかってぐらい醜く描いているから「うすせえばばあ」としか思えなかったです。
でも彼女の映像を見ると、めちゃくちゃ綺麗だし、この分なら50代のときもきっと色気のある女性だったに違いないんですけどね。
グロリア・グレアムを演じたアネット・ベニングが悪かったっていうのもあるでしょう。これこそニコール・キッドマンがやればいいのにさ。アクアマンなんか出てる場合じゃないでしょ。
ちなみにグロリア・グレアムは実生活で4度の離婚歴があり、4人の子供がいるそうです。それも4人目の夫は、2番目の結婚相手の連れ子だった男性だそうです。
つまり女版ウディ・アレンみたいなことをやらかした人なんですね。血がつながっていないとはいえ自分の子供に手を出しちゃうんだから。
それも最初に手を出したのはまだ息子が13歳の未成年だったときらしいので、法律的には完全にアウトな恋愛を繰り広げてきた、ぶっ飛んだ女性であることが分かります。
そんなグロリア・グレアムが最後に愛した男がこの映画に出てくるイギリス人の若手俳優のピーター・ターナーで、どういうわけか終始イケメンと美熟女の歳の差を越えた究極の愛みたいに描いていたけど、実際のピーター・ターナーってこんな男だったようです。
思いっきり禿げてるじゃねえかよ。歳の差感じねえじゃねえかよ。ピーター・ターナーのほうがそんなに老けてたら全然話違ってくるからね。
むしろグロリア・グレアムがなんでお前に惚れたんだよって話になってくるじゃん。なにを若いイケメンが往年の大女優のわがままを全部飲み込んで、最後まで愛した話にしちゃってんだよ。どんな美化の仕方だよ。
コメント
この映画を観たわけではありませんが予告編でギブアップしたのでw
Amazonでレンタルして観ようかなと思い、その前にとYouTubeで予告動画を観ました。まったく主様のおっしゃる通り…そしてなんか寒かったです。
ロミオとジュリエットの場面を二人で演じているシーンなのですがまったく感動も何も伝わって来ないどころか、イチャイチャして自己満足に浸りたいだけなのかな、うわ…観たくない!と思ってしまいました。私だけかなこんな感想と思っていたのです。
ジェイミー・ベルは『ロケットマン』のバーニー・トーピン役が良かっただけにねえ…。歳取った相手の女優さんにムカついただけかもしれませんが、この役ジェイミー・ベルじゃなくてもいいんじゃないか、甘いマスクのジュード・ロウ辺りでも良かったんじゃ?などキャストにダメ出ししてしまいましたw
予告でギブアップして正解だと思いますよ。