これまでのシーズンと比べると、かなりスローでエキサイティングな展開が少ない麻薬ドラマシリーズ。最後までは見れるけど、物足りなさがありました。59点(100点満点)
ナルコス:メキシコ編のあらすじ
1980年代に、グアダラハラ・カルテルが強力な指導者フェリクスを得て、抗争を経て多くの麻薬組織を統合する。アメリカDEA局員でメキシコ系のキキ・カマレナは身重の妻と息子とともにカリフォルニアからメキシコに引っ越し、捜査に加わって困難に直面する。キキがフェリクスの捜査を進めるにつれて、悲劇の連鎖反応が起き、長年にわたる麻薬戦争が始まる。
Wikipediaより
ナルコス:メキシコ編の感想
ネットフリックス製作による「ナルコス」、「ナルコス・シーズン2」、「ナルコス・シーズン3」に続く大ヒットシリーズ第四弾。
舞台をコロンビアからメキシコに移し、メキシコの麻薬戦争の歴史をフィクションとノンフィクションをミックスさせてつづる犯罪ドラマ。ロケーション選びのスタッフの一人が現地で麻薬組織に殺害されてしまった、といういわくつきのシリーズでもあります。
出演者には「ローグ・ワン」、「ダンシング・ハバナ」、「天国の口、終わりの楽園」などに出演したディエゴ・ルナ、そして「アントマン」シリーズでお馴染みのマイケル・ペーニャらが名を連ねています。
結論からいうと、期待外れでしたね。演技はいいし、ストーリーも悪くないんですが、決定的な何かが足りないんですよ。一言でいうと「興奮」ですかね。
ターゲット層を広げようと試みたのかコロンビア編と比べると、明らかにバイオレンスとベッドシーンが減っていて醍醐味を失っていました。
やはりパブロ・エスコバルのぶっ飛びエピソードにはどんな麻薬カルテルのボスの話も足元にも及ばないんですよね。
だって大統領になろうとしたり、サッカーチームを買ったり、飛行機を墜落させたり、刑務所の中を好きなようにリフォームしたり、そんなことする犯罪者ほかにいないじゃないですか。
それと比べると、今回の主人公であるミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルドはちょっとタレント不足ですね。
ミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルドは、小さなチンピラ組織が自分勝手に麻薬の取引をやっていたメキシコで初めてカルテルを結成した人物で、警察、政治家を囲い込んで大成功した人物として描かれています。
麻薬カルテルのボスというと乱暴な極悪人というイメージですが、彼の場合、賢いビジネスマンといった感じで、持前の交渉テクニックでどんな困難な商談をもまとめてしまう、という一面を持っています。
それはそれで個性的だし、ネタとしてもいいんだけど、やはりシリーズとして見続けていくにはそれだけでは足りないんですよね。ところどころ暴力シーンを入れてくるものの、どこか緊張感に欠け、ハラハラドキドキがありません。
もしかすると、前シーズンよりもフィクション度が上がったのかもしれませんね。そして早い段階でメキシコ編がどの方向に向かっていくのかが見えてきます。
そう、もともと描きたかったのは、ミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルドではなく、ご存知現在アメリカの刑務所で収監されているエル・チャポことホアキン・グスマンなんですね。
つまり本シーズンはその前フリといってもよく、いわばパブロ・エスコバルを描くためにそれ以前の出来事をまるまるワンシーズン使って説明するみたいなことなんですよ。ワンシーズンどころか次回もおそらくミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルドが主役になりそうです。
それなら最初からエル・チャポのストーリーとして描き始めたほうがよくない? 小説だったらゆっくり前章から描くのもありだけど、ドラマシリーズでそれやっちゃうと下手したら視聴者逃げちゃいますよ。
それでもなんとか続きを見ようかなと思わせるのは、メキシコの麻薬戦争の歴史そのものがコロンビアのものとはまた違った文化や習慣があって興味深いのと、俳優たちの安定したパフォーマンスのおかげです。
マイケル・ペーニャ(左)とディエゴ・ルナ(右)
マイケル・ペーニャは最近コメディー俳優っていうイメージが強いけど、ちゃんとシリアスな役もできるし、ディエゴ・ルナは麻薬組織のボスにしては若くてイケメンすぎてひ弱な感じがするけど、暴力ではなく知恵と処世術で成り上がっていったというストーリーならありですね。
ただ、どうせならボスがもうちょっとめちゃくちゃやってくれないと、話としては盛り上がらないですよね。せめて女にはダラしない男であって欲しかったです。
裏ではちょこちょこやってたみたいだけど、なんであんなに硬派なキャラにしちゃったんだよ、つまんねえなあ。もう今から次のシーズン以降に期待しておきます。
コメント
おっしゃるとおりですね。
それでも、最終エピソードまで観てしまう数少ないシリーズものですね。
オリジナルナルコス3まででいいでしょう。これは見なくていい。