視聴者に試練を与えるのが目的だとしか思えない、一言でいうと「きつい」映画。滝行をするか、この映画を見るかの二択しか選択肢がない人が見ればいいです。16点(100点満点)
ロストパラダイス・イン・トーキョーのあらすじ
マンション販売会社での営業成績もパッとしない幹生(小林且弥)は、両親の死で一人になった知的障害者の兄・実生(ウダタカキ)と暮らすことに。ある日、実生のために呼んだデリヘル嬢のマリン(内田慈)と出会ったことから、二人の生活に変化が生じ始め、幹生は実生の起こした10年前の事件と向き合うことになる。
シネマトゥデイより
ロストパラダイス・イン・トーキョーの感想
「止められるか、俺たちを」、「孤狼の血」、「凶悪」、「彼女がその名を知らない鳥たち」、「牝猫たち」、「日本で一番悪い奴ら」、「サニー/32」、「凪待ち」などで知られる白石和彌監督のデビュー作。演技は悪くないけど、ストーリーがボロボロで、よくこれで次のチャンスもらえたなあっていう低レベルな映画。
80年代の映画かよっていうぐらい映像は汚いし、テンポは悪いし、20分過ぎたら見ているのが苦痛になってきます。
障害者、障害者を持つ弟、風俗嬢の三人による人間ドラマって聞いただけでもだいたいどうなるのか予想が着きますよね。そう、障害者と向かう家族とその恋人を描いた下手な感動ものです、それも薄っぺらい人物描写による。
狙いとしては「ギルバート・グレイプ」のような話にしたかったんでしょう。しかし障害者の役を演じる俳優にレオナルド・ディカプリオ並の演技ができるかといったらもちろん無理だし、障害者を持つ兄弟役の俳優にジョニー・デップのような美しさがあるかといったらないし、風俗嬢役の女優にジュリエット・ルイス並の可愛さと天真爛漫さが出せるかといったら不可能ですよ。
俳優たちの実力不足というより、脚本と演出がひどいんで、どうにもならなかったといったほうが正しいと思います。
風俗嬢を演じた内田慈は「恋人たち」にも出ている女優で演技はうまいけど、この役にははまってなかったです。それもそのはず旬を過ぎたアイドル&風俗嬢っていう設定が無理あるんですよ。
障害者の客を取ったのを機に客の家に入り浸れるようになる風俗嬢。本業はアイドルで、それだけでは食えないから裏でデリヘル嬢をやっていて、将来はお金を貯めて島を買いたがっているんだって。ね、もう無理が生じてるでしょ?
彼女が障害者の客に感情移入する理由が全くないし、いつの間にか家族みたいな関係になっていく不自然さといったらないですね。
障害者の兄は、言葉もろくに話せず、普段は家に閉じ込められていてほとんど外出しないような設定なのに自殺をほのめかして家出をしたかと思ったらボートをスイスイ漕いでるっていうね。今までそんな運動能力なかったじゃん。なんで急に物語の中で障害の度合いが変わるんだよ。
それにしてもなんでこんなつまんない話をダラダラ約2時間も流すかなぁ。せめて1時間半ぐらいにすればいいのに。編集しているときに「あれ、長いなぁ」って感じないのかな?
なにより幻のデビュー作って言われてるのが笑えますね。幻っていうより、つまんないから世に出なかっただけだろって。何を綺麗に形容しちゃってんだよ。
コメント
これ、数ヵ月前に観ました。
実は白石和彌作品に触れようと最初にこの作品に観たのですが、白石和彌監督の片鱗というのは少し感じられた一方で障害者の兄を持つ弟と風俗嬢が同居するまでの過程が長かったというのとラストで障害者の弟が何も荷物も持たずにボートで島に行くあたりで物凄く突っこみたくなりましたよ。
そもそも弟の運動能力もそうだし、兄と風俗嬢の前から姿消してから飲まず食わずでボートを漕げるのかよ!と言いたくなったし、もしボートで漕いでいたら海辺で兄と風俗嬢がいたときに
とっくに遠くで発見できてそうな気がなりませんでしたよ。
ちなみに、調べたら当時の白石和彌監督のインタビューがありました。記事で映画男さんは「せめて1時間半にすればいいのに」と書いてたのですが、当時のインタビューで監督が「もう少し切れば良かったな」と言っていたので若干もうちょい編集でカットしたほうが良かったなぁという未練はあった
のではないかと思います。
当時のインタビュー
http://intro.ne.jp/contents/2010/09/18_1712.html
まあ、障害者の弟を演じたウダタカキさんの演技はもっと評価すべきかなぁとは思いましたが……。
監督が長いって思ったらお終いですね。でも問題は長さだけじゃないけど。