海外でやたらと評価が高かい退屈なドイツ映画。日本人にはまず内容が伝わらないと思います。38点(100点満点)
未来を乗り換えた男のあらすじ
時は現代のフランス。ドイツ軍が侵攻し、ファシズムが広まり、滞在許可のない外国人は次々と摘発されようとしていた。
そんな中、ドイツから亡命してきたゲオルクは摘発の厳しくなったパリで友人からホテルにいる作家ヴァイデルに手紙を渡してくれないかと頼まれる。
ところがいざホテルに行くヴァイデルは部屋で自殺を遂げていた。ゲオルクは彼が書き残した小説や身分証明書を手にし、摘発の厳しくなったパリを出てドイツ軍の侵攻がまだ始まっていないマルセイユを目指すことにする。
マルセイユの港からは海外に向けての船が出ている。ゲオルクは身分を作家のヴァイデルと偽り、ビザを取得し、メキシコへと逃亡を図ろうとするもののマルセイユでヴァイデルの美人妻マリーと出会い、彼の運命が大きく変わっていく。
未来を乗り換えた男の感想
クリスティアン・ペッツォルト監督による、アンナ・ゼーガースの小説を基にした映画。時代設定や状況が不明確で言葉足らずなため、ストーリーが理解しづらく、伝わるものも伝わらなくなってしまっているダメな作品。いかにも欧州の批評家受けを狙った人間ドラマです。
原作は、1942年の第二次世界大戦中に起きた作家の実体験を基に書かれているそうなんですが、この映画は時代を架空の現代にし、またナチスドイツをナチスとして主人公をユダヤ人として描かず、中途半端な現代化を図ったために全てが曖昧で理解を難しくしていました。
ナチスが実際に行った史実と現代の難民問題を融合させた、といったら聞こえが良すぎますね。誰がどの人種で、どこの出身であるといった説明が圧倒的に不足していて、難民と地元民の違いすら分かりにくいです。
そのため少ない会話とナレーションをヒントに登場人物の置かれた状況や心理について想像を膨らませないといけないので面倒臭かったですね。
物語は、ドイツ軍の侵略から逃げようとフランスからメキシコに向かう途中で主人公のゲオルクが自分と同じような状況にいる難民たちとマルセイユで出会い、呑気に交流したり、恋愛したりする話です。
ゲオルクが恋をするのは自分が身分を偽っている作家の妻マリーです。しかしそのマリーは旦那が死んだことを知らず、旦那のことを愛し続けているかのようなことを言いつつ医者の愛人がいたりして、一体誰とどうしたいんだよお前は!っていうぐらい優柔不断です。
いちいち登場人物の行動が意味不明でしたね。生きるか死ぬかの状況で、主人公のゲオルクがマルセイユで女のケツを追っかけているヌルさが分からないし、マリーはマリーでフランスに残りたいのか出たいのかコロコロ気が変わるし、全員正座させて説教したくなりました。この期に及んで遠足気分かよって。
これでナチスとか難民問題描きましたって言われてもね。あんな悠長な難民いないだろ。
ラストにちょっとしたサプライズがあるけど、登場人物の行動に一貫性がなさすぎて、もはやそれもどうでもよく感じられました。
あと、全体的にドイツ軍の侵略が迫っている切羽詰まった空気がなく、マルセイユの雰囲気なんて観光地そのものでしたね。
架空の時代設定にしているわりにそのままの状態で撮ってるから設定と実際の絵にかなりの誤差が出てしまっているんですよ。
例えるなら戦時中の東京を描こうとしているのに平和な現代の井の頭公園で撮影しちゃったみたいな感じですかね。
そうかと思ったら現代なのにパスポートとか書類がしょぼすぎるし、ちょくちょく古いんですよね。昔の話なの?今の話なの? ねえどっちよ?って言いたくなりますよ、きっと。
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