インパクト重視のアンダーグラウンド、不良ドラマ。90年代の社会問題に触れつつ、当時のニューヨークの雰囲気とサブカルチャーを悪ガキ少年少女たちの目線で映し出した良作です。75点(100点満点)
映画KIDS/キッズのあらすじ
テリーは処女の女の子とやるのを最大の喜びとしているティーネイジャー。彼は親友のキャスパーと共にニューヨークの街を徘徊し、ドラッグやパーティー三昧の生活を送っている。テリーは今日もまた新たなターゲットを見つけて処女を奪おうと計画していた。
一方、ルビーとジェニーは避妊をせずに性行為をしたことからエイズ検査を受けようとしていた。特にルビーは複数の男子と関係を持っていたために気になっていた。反対にジョニーはルビーにただ付き添うつもりで自分も検査を受けることにした。
ところが付き添いで行ったジョニーのほうが検査の結果、HIVポジティブだということが判明する。彼女が寝た相手はただ一人テリーだった。
絶望を感じながらもジョニーはテリーに伝えようとニューヨークの街をさまようことに、、、、
映画KIDS/キッズの感想
「KEN PARK ケン パーク」や「BULLY ブリー」などで知られるラリー・クラークによる初監督作品。
演技経験のない10代のスケーターたちを起用し、当時社会問題となっていたエイズを題材に不良少年少女が刹那的に生きる日々を描いた問題作です。
演出や演技といった面よりも、過激さとインパクトの強さで話題を呼んだ映画で、これ以上に強烈な印象を受けた不良映画はいまだかつて見たことがないです。
どう見ても未成年の少年少女たちにベッドシーンをやらせたり、タバコやマリファナを吸わせたりしていて、今の時代では放送倫理的にも絶対に作れないでしょう。
キャストは素人俳優なので演技は怪しいし、セリフは棒読みだったりするところもあるんだけど、その中にもものすごいリアリティーがあって、ドキュメンタリーと思って見た人も少なくなかったようです。
会話は基本下ネタで、延々とティーネイジャーたちがやることについて話をしています。男子の会話もバカっぽくていいんだけど、なんていっても女子たちの会話が下品でリアルなんだよなぁ。男子がいないところではあんな話してそうだもん。
ジェニー役のクロエ・セヴィニー、ルビー役のロザリオ・ドーソンはとても初めての演技とは思えないほど存在感がありました。二人ともここからスターになったんだからすごいよなぁ。
特にこの当時のクロエ・セヴィニーはフォトジェニックですねぇ。二人ともいまだに色気があるし、綺麗だもんなぁ。
公開当時見たときは不快感と衝撃と、その他もろもろの感情を呼び起こした記憶があります。喧嘩のシーンとかビビったもん。
でも今再び見返すと、これはこれで青春映画なのかなぁと思えました。やることしか考えてない10代。背一杯悪ぶって背伸びして大人になろうとする姿。目先の楽しみだけを優先する刹那的な生き方。環境や度合に違いがあれど、どこの世界にも通じる話ですよね。
映像は汚さが目立ちます。演技は粗削りです。それでもストーリーの運び方とかすごいなぁと思いますね。1日の出来事をあれだけスムーズに描くセンスがやばいです。
ちなみに黒人少年ハロルド役のプロスケーター、ハロルド・ハンターはドラッグで、キャスパー役のジャスティン・ピアースは自殺でそれぞれ命を落としています。
スターが生まれたり、出演者が若くして死んだり、色々とすごいですね。好き嫌いがはっきり分かれる映画ですが、論争を巻き起こした作品なので、まだ見ていない人はぜひ見ておいてください。
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