5つのショートストーリーで構成されるオムニバス映画。名作中の名作で題名がこれほどぴったりあてはまる映画は他にないです。94点(100点満点)
彼女を見ればわかることのあらすじ
老母の看病に手を焼く女医。息子に溢れんばかりの愛情を注ぐ母。重病を背負った恋人と暮らす占い師。
妻のいる男と不倫中の銀行の支店長。盲目の美女と刑事の姉。それぞれがそれぞれの悩みを抱え、孤独に苦しみ、恋を求め、期待と失望を繰り返して毎日を生きている。
彼女を見ればわかることのキャスト
- グレン・クローズ
- ホリー・ハンター
- キャシー・ベイカー
- キャリスタ・フロックハート
- キャメロン・ディアス
- エイミー・ブレネマン
- ヴァレリア・ゴリノ
- エルピディア・カリーロ
彼女を見ればわかることの感想と評価
「愛する人」、「美しい人」、「アルバート氏の人生」、「パッセンジャーズ 」などで知られるロドリゴ・ガルシア監督による優れた構成力と脚本による人生を感じさせてくれる群像劇。
20回以上鑑賞しましたが、脚本があまりにも見事で見るたびに感心する、そんな作品です。各ストーリーで語られるセリフが他のストーリーと微妙に結びついたりと奥が深いです。
LAの郊外を舞台にした映像も美しく、女優陣の演技は最高。特に黒人男性と不倫する銀行の女支店長を演じたホリー・ハンターがすばらしかったです。
一番好きな登場人物もこの女支店長ですね。部下と飲んだ後に彼の家に行って、部屋の中に入るなりなんなり、初めて来た家なのにズカズカとベッドルームに直行した彼女はかっこよすぎです。「駆け引きなんて無駄なことはよしましょう。明日も仕事あるし、時間がないからさっさとやりましょうよ」という感じでしたね。
酒を飲んだ後で家に来たくせに「え? ダメ、ダメ、 私、全然そんなつもりじゃないから」とか言いながら結局最後はやってしまう女よりずっと正直でいいです。男がどっちのタイプに惚れるかと言ったら間違いなく前者でしょう。ただし、惚れたら最後フラれるのがオチですね。ああ、怖い。
中絶のシーンも緊張感があってよかったです。病院から外に出て道端で泣くところなんかは哀れでしょうがなかったです。
他のストーリーの登場人物の女もみんな人生に不満気で、それでも人前では幸せそうに振舞っているからなおさら不憫に思えてきす。それでもなぜかそういう女たちに惹かれてしまう。不幸な女は男を惑わすなにかを持っているに違いないですね。
この映画を見る前は、キャメロン・ディアスがあまり好きじゃなかったんですよ。正直、ただのモデル上がりのB級女優ぐらいにしか思ってなかったです。でもちゃんと盲目の人の役をこなしていて、彼女が涙を流すシーンには思わずジーンと来ちゃいました。
キャメロン・ディアスの役柄もまた寂しげでいいですよね。精一杯強がってるんだけど、本当は自信がなくて、不安で仕方ないんだよね。人々とつながりたいけど、なかなかつながれない、もどかしさが何とも言えないです。どのキャラクターも悲しげなんだけど、ものすごく愛おしくて美しいんですよね。
コメント
これは期待が大きかったせいか、なぜか物足りなく、残念な印象を受けてしまいました。
きっと脚本の良さは英語が分からないと、理解できなかったんでしょうね。自分に残念ですね。(笑)
banana splitさん
僕にとっては名作ですが、人によっては苦手な映画というのも理解できます。次はぜひこの監督の他の作品も見てみてください。
こんにちは。ファミリーツリーを見る前に、この映画をレンタルして見ました。
綿密なストーリーなのにとても自然に表現ができていて、その世界にすっと入っていけました。女性なら更に共感を覚える作品だと思います。
私はキャメロンディアスが盲目の少女に「パパはやめといたほうがいい」と意見されるシーンの表情が忘れられないです。これは女には、あまりにもきつすぎる内容でした。
普段アクションものしか見ない夫も、自然と食いついて見ていたのにはビックリ。なにについてかは知りませんが見終わって「良かった~」と言ってました(笑)
妙に綺麗事にしたり、説教臭くないところも非常に良かったです。映画男さんのブログを見たのでこの映画に出会えました。有難うございました。
中谷さん
この映画を理解してくださってとても嬉しいです。この映画はアメリカでも日本でもほとんど受け入れられなかった隠れた名作だと僕は思っています。一度でなく、何度も見直してみると、様々なセリフが微妙に物語をつなげていることが分かってとても感心します。ぜひ、次は「愛する人」を見てみてください。同じ監督のこの映画をモチーフにした新作なのできっと気に入ると思います。
観ました。先に言うと観終わったあと、1時間後に「愛する人」も観ました。映画男さんは10年も待ったそうですが、このブログのおかげで直ぐに観れました。2作品とも途中からぐんぐん引き込まれ、最後の20分位で様々に散らかっていた頭の中が見事に一つになって行くときの心地良さは快感でした。
森 悦孝さん
コメントありがとうございます。両方とも名作ですよね。同監督が関わっている他の作品もぜひ見てくださいね。
映画男さん、こんにちは。いつもブログ楽しく拝見しております。
今、流行の「ボヘミアン・ラプソティ」を観て何がいいのかわからなく、かといって自分の感性が信じられなくなってネット検索の結果、このブログに行き当たりました。ボヘミアン・ラプソティの感想は映画男さんとまったく同じで安心しました。そこで映画男さんが勧めらる映画を何本か観てみましたが、その中でこれが一番良かったです。すべての女優さんの演技がすばらしかったです。いい女優さんて表情だけで演技するんだなあって改めて思いました。特に、キャメロン・ディアスが少女との会話の中で表情が変わっていくところなんかが好きです。もちろん、この映画の台詞も一語一句がすばらしい。この映画は女性の映画だけど、僕みたいに男性が観た方がいいですよね。映画の中でひとりだけいい男性が出てくるので気分的に救われます。
ちなみに、映画男さんのお勧めの映画で観たそのほかの映画は、「別離」「扉をたたく人」「迷子の警察音楽隊」「秘密と嘘」です。どれも良かったですが、「秘密と嘘」と」は、すばらしい演技とわかりつつも少し感動が薄かったです。この辺は好みでしょうね。
まだまだ、観ていない映画がたくさんありますのでこれからもこのブログを参考に観ていきたいと思っています。
映画男さんのおかげで映画熱に火がつきました。ありがとうございます。
これからもブログ楽しみにしています。
ちなみに、僕はモロにクイーン世代です。
高得点の映画見ていただいて嬉しいです。この映画は特にいいですよねえ。僕ももう一度見たくなってきました。