自由を求めて6,500キロメートルをひたすら歩く壮絶なサバイバル映画。命がけの男たちの戦いに胸が熱くなります。61点(100点満点)
ウェイバック-脱出6500km-のあらすじ
1940年、ソ連・スターリンの恐怖支配に巻き込まれ無実の罪で囚われたポーランド人兵士ヤヌシュは、極寒のシベリアにある矯正収容所へ護送された。そこはすべての生命をのみこみ凍てつかせる不毛地帯……。
20年の懲役という途方もない刑を言い渡されたヤヌシュは6人の仲間と共に収容所の脱出を決意。食糧 も装備も殆どなく目指す方向も不確かな中、氷の森を抜け灼熱の大地をわたる旅。想像を絶する苦難に直面する彼らがした事はただひとつ。歩いて、歩いて、歩き続ける事だった。
(goo映画より)
ウェイバック-脱出6500km-の感想
「いまを生きる」などで知られるピーター・ウィアー監督による感動の生存劇。
戦争時代を生きる人間たちの生存に対するすさまじい執着、ヘロヘロになりながらも意地でも歩き続けるド根性が見られる力強い物語で自分の本能と信念と運に全てを授けて行動する男たちがかっこいいです。
普通の戦争映画と違うのは、話の大部分が自然との闘いに終始するところです。強制収容所から逃亡を試みる男たちはたとえソ連軍から逃れても、さらに冷酷なシベリアの吹雪に遭遇したり、冬を乗り越えたと思ったら今度は灼熱の砂漠に迷い込んだりします
。そしてソ連からモンゴル、モンゴルからチベット、中国へと国境を超えていくうちにいつしか立派なロードムービーに仕上がっていることに気付かされます。
話が中盤に差し掛かったところで突然男たちのグループにやはりソ連軍から逃げてきた美少女が加わります。
食べる物もほとんどなく常に生死のはざまを行き来している彼らの状況にしかしこの美少女の存在はあまりにも異質で、もう少しで映画そのものをぶち壊すところでした。
とにかく格好から顔付きから何日も歩き続けてきた人のそれとはほど遠く、ほかの映画に例えるなら、「ブラインドネス」の木村佳乃と同じくらい役作りができていませんでした。そしてよく見るとその美少女は「ハンナ」のシアーシャ・ローナンなのです。
このキャスティング&設定は完全に汚い男たちの中に一人美少女を入れることで癒しの効果が生まれることを期待したに違いないのですが、「壮絶なサバイバル映画に美少女のお色気も、癒しも必要ねえよ、この野郎ぉー」と硬派な男たちは叫ぶことでしょう。あの少女の登場で生じた甘っちょろさがなければもっといい映画になっていたのになぁ。
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