前半すごく面白くて、後半すごくつまらなくなる、もったいない作品。しかし監督の才能の片鱗はうかがえる映画です。48点(100点満点)
机のなかみのあらすじ
大学受験を目前に控えた高校生の望(鈴木美生)は、家庭教師の馬場(あべこうじ)に勉強を教えてもらうことになる。
同棲中の彼女(踊子あり)がいるにもかかわらず、望の愛くるしさにすっかり参ってしまった馬場は、何かにつけて彼女の気を引こうとする。彼のアタックをかわしながら猛勉強を続ける望には、ある秘密があった。
シネマトゥデイより
机のなかみの感想
「ヒメアノ~ル」、「犬猿」、「さんかく」、「空白」の吉田恵輔監督によるコメディドラマ。家庭教師の男と女子高生の二人の目線によるパラレルストーリーで、あともうちょっと工夫があったら良かったのに、という作品です。
前半は、可愛い女子高生、望(のぞみ)の家庭教師をすることになった馬場がたちまち彼女に恋をしてしまい、どうにかして気を引こうとするおバカ劇場です。
最初は成績が悪かった望も馬場が勉強を教えたことでみるみる学力を伸ばしていくと、次第に心を開き、馬場に打ち解けていきます。
一方、笑顔で話しかけてくる望を見て馬場はどんどん勘違いをエスカレートさせ、自分のことが好きなのではないかと有頂天になります。
しかしそんな馬場には同棲中の恋人がいて、ある日恋人と手をつないで歩いているところを望に見られてしまう、というのが筋書きです。
後半は、望の視点でいかに馬場が勘違いしていたかを明かしていくと共に望が同級生の男子、凛(りん)に片思いを抱いている様子を映していきます。
彼の恋人は望の親友の多恵。三人は同じ大学を受験することを決めていて、一緒に大学生活を送ることを夢見ています。
多恵は望に凛との関係を開けっぴろげに語り、付き合いがそれほど上手くいっていないことを匂わせます。そんな中、望は多恵を警戒しながらも凛と一緒になれることを強く願うようになる、というのがストーリーの流れです。
家庭教師の馬場役を芸人のあべこうじが演じていて、勘違い男を見事に演じていました。ほぼほぼあべこうじがいいところを持って行ってます。笑いのシーンはすべて彼が絡んでいると言ってもいいでしょう。
カレーの日にカレーを差し入れで持っていくタイミングの悪さとか、聞いてもない恋話をしだすところとかリアルだし、ああいう奴いますよね。
同棲している彼女がいるけど、寝顔がとにかくブスで、話し方は男っぽくて、できるだけ一緒に外出したくない感が出ています。
かといってスパッと別れるかと言ったらそうではなく、ズルズルと同棲を続け、それでいて女子高生に熱を上げるというバカっぷりがいいです。
馬場の彼女役を演じた女優、踊り子ありも自然でしたね。ああいう女もいるよねぇ。化粧もほとんどせず、服のセンスがおばちゃんで、男言葉使う人。
喋り方といい、振る舞いといい、バイトの職場にいそうなタイプです。そんなキャラクターたちがいい味だしていて、前半は面白かったなぁ。
一方で後半になって視点が望に変わると、コメディから普通の学園恋愛ドラマになり下がってしまって残念なことになっています。なんであんな展開にしたんだろうかちょっと理解できないですね。コメディのまま行けばよかったのに。
望はあくまでも引き立て役で、主役にしちゃだめでしょ。後半になると見どころが少なくなってテンポも悪くなります。
いかに家庭教師の馬場が都合よく女の子の言動を解釈していたかが唯一面白いところで、高校生の三角関係は結構しょうもないです。
ラストもどういうオチをつけたかったのかいまいち掴めませんでした。どう考えてもあのスイングでホームランは打てないだろって。
いずれにしても僕は吉田恵輔監督のユーモアが好きです。脚本や笑いのセンスがいいから、平凡な話でも期待が持てるし、ほかの作品も見ておこうという気にさせられますね。なによりオリジナルストーリーというのが好感が持てます。さあて、ほかの作品も見てみようっと。
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