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フルメタル・ジャケットは軍曹と微笑みデブの寸劇!感想とネタバレ

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この記事は 約5 分で読めます。

前半面白く、後半やや失速するキューブリックの代表作のひとつ。面白いけど、それほど印象には残らない戦争映画です。65点(100点満点)

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フルメタル・ジャケットのあらすじ

一部

ベトナム戦争時、アメリカ海兵隊に志願した青年たちは、サウスカロライナ州パリス・アイランドの海兵隊訓練キャンプで厳しい教練を受ける。キャンプの鬼教官・ハートマン先任軍曹の指導のもとで行われる訓練は、徹底的な叱責と罵倒、殴る蹴るの体罰が加えられ続けるという、心身ともに過酷を極めるものだった。

二部

厳しい訓練を耐え抜き一人前の海兵隊員となった彼らは、ベトナムへ送られる。テト攻勢の第一撃を受けた後、前線での取材を命じられた報道部員のジョーカーは、訓練所での同期であったカウボーイと再会し、彼が属する小隊に同行することとなる。

ある日カウボーイたちは、情報部から敵の後退を知らされ、その確認のためにフエ市街に先遣される。しかし交戦地帯で小隊長が砲撃で戦死、さらに分隊長をブービートラップで失う。

wikipediaより

フルメタル・ジャケットの感想

2001年宇宙の旅」、「シャイニング」、「アイズワイドシャット」、「ロリータ」、「博士の異常な愛情」、「時計じかけのオレンジ」などで知られるスタンリー・キューブリック監督による戦争映画。グスタフ・ハスフォードの小説「ショート・タイマーズ」が基になっています。

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前後半の二部構成になっていて、前半は海兵隊の訓練所、後半は戦時中のベトナムの前線を描いていきます。

訓練所のシーンはほぼコメディーでしたね。鬼教官ハートマンと微笑みデブことポンコツ兵士レナードを演じた二人が全部持っていってましたね。

ちなみに鬼教官ハートマンを演じたR・リー・アーメイは元海兵隊の指導員だそうです。本物はやっぱ違いますね。罵り言葉の半分は彼自身が考えたそうです。現役のときも本当にあんなこと言ってたのかな。

レナードを演じたヴィンセント・ドノフリオはかなりのインパクトを残して、そのまま映画界を去ったのかと思いきや、いまだに映画に脇役で出続けているんですね。知りませんでした。

二人のやり取りはとにかく見事で、鬼教官の罵り言葉のボキャブラリーの豊富さと想像力、そしてあのテンションの高さに圧倒されます。翻訳家の戸田奈津子がセリフを意訳したせいで途中で降ろされたのは有名な話ですが、あれは訳せないって。

一方の微笑みデブレナードの薄ら笑いのユルユルの表情から眼光鋭い狂気の姿への変貌ぶりは、「シャイニング」のジャック・ニコルソンを彷彿させますね。ああいう精神異常を描くのはキューブリックは上手いですねえ。

ただ、僕の中では前半部だけでこの映画は完結した感があって、レナードが暴走して幕を閉じてもよかったんじゃないかなって思いましたね。まあそれだと1時間くらいで終わっちゃうんだけどね。

弾体の鉛を銅などで覆った弾丸フルメタル・ジャケットの単語がセリフに出てきたタイミングもばっちりだったし、あれで話にきれいにオチが付いてた気がします。

後半、しかし何事もなく物語は続いていき、部隊はアメリカの軍事訓練施設からベトナムの戦場へと移ります。

そこで描かれる訓練生たちが兵士として実際に戦場で戦っていく様子はスナイパーとの戦闘シーンこそ緊張感がありますが、どこかありきたりの戦争と狂気でしたね。

後半部の主人公は間違いなく報道部員のジョーカーでしょう。しかし前半、鬼教官ハートマンとポンコツ兵士レナードに存在感で持っていかれている分、後半から物語の中心にジョーカーがいること自体、少なからず違和感がありました。あれはもう前後半ではほとんどつながりのない別の映画だろうっていう感覚でしたね。

これ、好きな人はすごい好きになる映画で、戦争映画ナンバーワンに挙げる人もいます。僕からしたらキューブリック作品の中では良作の一つに入るけど、そこまで絶賛するほどのものかなっていう作品です。

やっぱりキューブリックってコアなファンが多いだけに大袈裟に評価されてる作品が多い気がするんだよなぁ。それだけファンに恵まれた監督ってことなのかな?

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フルメタル・ジャケットの裏話

原作にはフルメタルジャケットは出てこない

原作の「ショート・タイマーズ」にはフルメタルジャケットという単語は一度も出てきません。その代わりにキューブリックは銃のカタログ雑誌を見て、この単語を拾ってきたというのは有名な話。

ブルース・ウイルスやシュワルツェネッガーが出演するかもしれなかった

シュワルツェネッガーはアニマルマザーの役のオファーを受けていましたが、忙しくて断念。

ブルース・ウィリスも別の役のオファーを受けたものの、当時「こちらブルームーン探偵社」の撮影中だったためにこれを蹴っています。

また、デンゼル・ワシントンも出演を熱望したそうでしたが、叶わなかったそうです。

微笑みデブは30kg増量して撮影に臨んだ

微笑みデブのレナードを演じたヴィンセント・ドノフリオはこの役のために実に30キロ増量して臨んだそうです。一見、根っからのデブのような外見を持つ彼も実は大変な役作りによってできているんですね。

鬼教官が考えた悪態は150ページ

もともとは鬼軍曹ハートマンの演技指導として呼ばれていたR・リー・アーメイは自ら出演を希望し、見事役をゲットしています。そんな彼が自ら考え出した悪態の数々は150ページにも及んだそうです。

それを基にキューブリックが脚本を完成させたのが前半部分です。

イギリスで撮影された

物語はベトナムとアメリカの話ですが、撮影は全てイギリスで行われています。キューブリックが飛行機嫌いなのは有名な話で、ベトナムを再現するためにわざわざやしの木を海外から輸入してセットを完成させたそうです。

ちなみに「アイズワイドシャット」のときもニューヨークが舞台でしたが、撮影地はイギリスでした。

スタンリー・キューブリックのカメオ

アイズワイドシャット」同様、本作でもスタンリー・キューブリック監督がカメオ出演しています。

といっても本作では声だけの出演です。そのシーンとは、カウボーイが無線で仲間が死亡したことを告げる下りで、無線の相手であるマーフィーの声が監督の本人です。

コメント

  1. ちー より:

    名作と名高いこの作品、やっと見ました。
    仰る通り、前半のデブちゃんと教官のやり取りは引き込まれました。
    本当、あっさり後半の戦場シーンへ行ったので面食らいましたが、戦場に立つまでに生まれる狂気もこの世界では取るに足らないことと言うことなんでしょうか。

    公開当時はなかなか見応えがあったのではと思いますが、今はリアリティのある戦争映画がたくさんあるので、それと比べてしまうとどうしても物足りない感はありますね。