死を目前にした馬と孤独な少年が心通わせ、一緒に旅に出る人間ドラマ。可哀相な少年をエサに同情と感動を狙らった作品ではあるものの感情移入できる人には、はまりそうな映画です。53点(100点満点)
映画荒野にてのあらすじ
チャーリーは長らく父親のレイと2人だけで暮らしていたが、父親が病に倒れてしまったため、彼は自活しなければならなくなった。
職探しの末に、チャーリーはリーン・オン・ピートという名前の引退した競走馬の世話係を務めることになった。厩舎のオーナーであるデルと騎手のボニーとの交流によって、チャーリーは孤独感を癒やすことができた。
チャーリーはウマとの絆を深めていったが、程なくしてウマが屠殺されることになった。何としてでも屠殺を回避したいチャーリーはウマの居場所を捜すための旅に出た。フロンティアは青年と老馬が旅するには余りにも過酷な環境であったが、チャーリーは決して希望を捨てることがなかった。
wikipediaより
映画荒野にてのあらすじの感想と評価
ヴェネツィア国際映画祭で上映されたアンドリュー・ヘイ監督による、父親を亡くして孤児となった少年のサバイバルロードムービー。同名小説の映画化で、主演のチャーリー・プラマーはこの作品で新人賞に輝いています。
前半はすごく面白いのに後半から急に失速する作品で、正直主人公を演じたチャーリー・プラマーの独り芝居の時間の長さに疲れました。もうちょっとカットしていたら、かなりの良作になってた雰囲気があるだけに残念です。
確かに15歳の少年チャーリーの素直さや優しさには同情を誘うものがあります。
チャーリーはシングルファザーの父親思いの息子で、父親が知らない女を家に連れ込んでも嫌な顔ひとつせず、それどころか稼ぎの少ない父親を心配して、自分でバイトをして家計を助けようとするほど真面目です。
チャーリーが見つけてきたバイトは競走馬の世話をすること。友達がいないチャーリーは中でも穏やかな性格をした一匹の馬に強く惹かれます。それがリーン・オン・ピートです。
しかしリーン・オン・ピートの体は傷だらけで、期待通りの走りができなくなっていることからまもなく処分されることが決まっていました。
ちょうどその頃、チャーリーの父親が不倫相手の旦那に襲われ、命を落とします。身寄りのいなくなったチャーリーは児童施設に預けられることを嫌って馬小屋で寝泊りし、唯一心を開くことができるリーン・オン・ピートを救うためにある行動に出る、というのが話の流れです。
ところどころにチャーリーの純粋さを伺わせるエピソードが出てくるので、それにやられちゃう人は感動できるかもしれません。
父親が入院中、ベッドの側にいてずっと父親の手を握り続けてあげるシーン。太った女の子の皿洗いを手伝ってあげるシーン。リーン・オン・ピートが屠殺されるのを回避するために必死で頑張ろうとする一連のシーンなどを見ていても、とにかくいい子なんですよ。
ただ、チャーリーがいい子なだけで2時間以上の物語を持たせるのはちょっと難しかったなかぁと思います。
特に中盤あたりからチャーリーが路頭に迷うと同時に物語も方向性を見失った感が強かったですよね。
家族も行き場所も失った少年がホームレスになり、なんとか空腹を満たそうとする姿は健気で可哀相でしかなく、僕はついついそれ以上の面白エピソードを求めてしまいました。
それとチャーリーの独り言が多いのが気になりましたね。馬に話しかけてたんだけど、お父さんとお母さんが離婚したときの話とかされてもさすがに馬だって困るでしょ。
クライマックスはラストでチャーリーが感情を吐き出す下りでしょうか。それまでずっと無表情だったチャーリーに感情が戻ってきた瞬間。それは亡くなった父親を寂しく思う気持ちからでしたね。
あれに涙する人がいても不思議ではないです。シングルファザーは号泣するんじゃないかな。
チャーリーとお父さんは友達みたいに仲が良く、なおかつリスペクトし合い、愛し合っているのが伝わってくる、いい関係性でしたもんね。できればもっと二人のやり取りが見たかったかなぁ。
そういえば劇中でも登場人物が出ていたようにシングルファザーってシングルマザーに比べると珍しい存在ですよね。
子供は母親側についていく習慣は社会的なのものなのか、それとも本能的なものなのでしょうか。いずれにしても男が独りで子供を育てる話をもっと見てみたいなぁ。
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