AV業界の光と闇を描いた人間ドラマ。色気はないものの娯楽性の高い作品です。55点(100点満点)
ブギーナイツのあらすじ
1977年のLA。ディスコで皿洗いをしていたエディは、ある日有名なAV映画監督に男優にならないかとの誘いを受ける。思い切ってAV業界に飛び込んだ彼はデビュー後、大きなイチモツを武器に瞬く間に売れっ子俳優に成長。数々の賞を受け、ヒット作品を連発したことで人生は順風満干に行くかと思われた。
しかしエディは薬や名声に溺れてしまい、監督ともケンカ別れしてしまう。頂点からどん底に落ちた彼はもう一度復帰を目指すが、すでに時代は背を向けていた。
ブギーナイツの感想
「ファントム・スレッド」、「インヒアレント・ヴァイス」、「ザ・マスター」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「パンチドランク・ラブ」、「マグノリア」などでお馴染みのポール・トーマス・アンダーソン監督によるポルノ業界をテーマにした、成功と転落の物語。
AV業界に突如として現れたスター男優の視点で全盛期と衰退期の両方を描いていくストーリー性の高い話です。
面白いエピソードがちらほらあるので見ていて飽きることはないでしょう。イチモツがでかすぎる大人気AV男優という設定も単純でいいです。
ただ、いまひとつ物足りなさはありますね。なんていうか「驚き」がなかった気がすします。あと、アダルト産業を描いているわりには色気がないんですよね。
ベッドシーンはいくつかあるものの、仕事っぽさをあえて出しているため、色気はないです。普通に面白いけど、最後まで普通に物語が進んで、普通に終っちゃったという感じがしました。やっぱりどこかで脱線して欲しかったですね。
フィリップ・シーモア・ホフマンのゲイ役ははまっているけど、ジュリアン・ムーアがAV女優っていうのはちょっと年齢的にも無理がありましたね。
でも基本的にこの映画の出演者のチョイスは好きです。ウィリアム・H・メイシーは名脇役だと思います。彼と妻とのやり取りは笑えました。あんな女が実際にいたとしたら、男に残された道はやはり心中しかないのかもしれませんねえ。
成功だけの話だったらコテコテのハリウッド映画ですが、この映画はその先の転落までを描いていて好感が持てます。
上手くいかなくなったときにこそ人の本性や本質が表れ、人間ドラマが生まれます。調子がいい時には人にも恵まれ、そして悪くなると人が去っていく。単純なストーリーだけれど、人生のむなしさをはかなさを感じさせてくれるのがいいですね。
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