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ウインド・リバーは面白いスリラー!感想とネタバレ

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この記事は 約4 分で読めます。

無駄がなく、嘘っぽさがなく、十分に楽しめる、もっと興行的にもヒットしていないとおかしい映画。75点(100点満点)

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ウインド・リバーのあらすじ

ワイオミング州ウィンド・リバー保留地。FWS(合衆国魚類野生生物局)の職員、コリー・ランバートは荒野のど真ん中で少女の死体を発見した。FBIは事件の捜査のために、新人捜査官のジェーン・バナーを現地に派遣した。自然の過酷さを甘く見ていたバナーは、捜査に難渋することとなった。そこで、バナーはランバートに捜査への協力を依頼した。2人は荒れ狂う自然と剥き出しの暴力に直面しながらも、ネイティブ・アメリカンの村社会の闇を暴き出していく。

wikipediaより

ウインド・リバーの感想

モンタナの目撃者」のテイラー・シェリダン監督による、インディアンの保留地で起きた連続殺人事件をテーマにしたサスペンススリラー。

極寒の地で憂鬱な生活を強いられているネイティブアメリカン、そこでハンターとして活動する主人公、外部から派遣されて来た美人FBI捜査官がそれぞれの視点で殺人事件を通じて保留地の厳しい現実と社会問題を映し出していきます。

物語は、ハンターのコリー・ランバートが雪に埋もれている18歳のネイティブ・アメリカンの少女の死体を発見するところからスタートします。

少女の名前はナタリー。亡くなったコリー・ランバートの娘の親友で、死体を一目見ただけでも事件性があることに気づきます。というのも大雪の中、なぜかナタリーは薄着で、それも裸足で見つかったからです。

体にはいくつもの外傷。不審に思ったコリー・ランバートはまもなく現場に警察を呼び、FBI捜査官のジェーン・バナーが到着し、捜査が開始されます。

外部から来たジェーン・バナーは土地に詳しいコリー・ランバートに協力を要請し、二人は犯人を追います。するとナタリーに事件当日まで一緒だった白人の恋人がいることが発覚する、という筋書きになっています。

厳しい自然、そこにひっそりと生息する動物、物悲しげな村人など絵的にあえて悲観的な要素を集めている印象さえあり、美しいはずの雪景色がより一層不気味に見える演出がいいです。

それに追い討ちをかけるかのような奇妙な事件の数々。レイプされ、雪の中で発見された少女が直接何者かによって殺されたわけではなく、肺出血で死んだことも事件の謎を深めます。

犯人探しのストーリーなんだけど、無理なトリックやアリバイ工作といった推理小説的な要素は一切ありません。物語の途中でも犯人像が全く浮かんでこないし、わざとらしく偽の容疑者を追ってからの真犯人登場といった展開にしていない点にも好感が持てました。

そして事件の全貌が明らかにされたとき、話が一本の線でつながった瞬間に臨場感のある激しいアクションシーンを持ってくるセンスの良さに唸りましたね。

センスのない監督だったらハンターと美人FBI捜査官を恋仲にして、どんなタイミングだよっていうラブシーンを無理やり劇中に投入していたでしょう。驚くことに「どうかお願いだからやめてくれよ」っていうチープなエピソードがなかったですね。

犯人を衝動的にレイプ、そして殺人へと導いたエピソードのリアルさといったらないです。

人里離れた閉塞感のある場所にいる男たちの様々な欲望と鬱憤が爆発するのを目撃することになるんですが、あのシーンに全ての見所が詰まっているといっても過言ではないほど、素晴らしい演技と演出でした。特に酔っ払い男の下品な演技上手すぎって。

「大自然の中では幸運なんてない」っていうセリフも名言ですねぇ。「オオカミに襲われる鹿は不運だから襲われるわけじゃない。弱いから襲われるんだ」ってさ。

コメント

  1. RenoBank より:

    Twitterではお世話になりました。RenoBankです

    いつもながら、超くだらん映画を面白い解説で復活させる貴兄のボランティア精神に感謝を捧げておるところです。

    この映画は面白そうなのですね、日本で観られる日が楽しみです。

    先日、ちょっと古いですが「パリ、テキサス」というロードムービーを観ました。当サイト検索ではヒットしなかったのですが、ぜひ貴兄の文句をきいてみたい映画でした。

    • 映画男 より:

      パリ、テキサスは昔見て、面白かった記憶があります。機会があれば見直して、感想書きますね。

  2. RenoBank より:

    ようやく7月27日から日本公開です。
    映画館もいいけど、とっとと配信やってくれないかな・・まともにチケット代払うから、うちで観させてよ!
    暑い夏は横になってビール片手にパンツ一丁で観たいんですよね〜
    今時のライフスタイルに合わせてほしいです。

    • 映画男 より:

      ほんと、その通りですよね。わざわざ映画館まで行きたくないっていう客のことを考えたら全部動画配信にするべきなのに。

      • RenoBank より:

        言い忘れたんですけど、Netflixでホールド・ザ・ダークという作品がこれとよく似ていて、なかなかよかったです。

  3. RenoBank より:

    やっとAmazon Prime Videoで配信されたのでさっそく視聴しました。
    最後まで目が離せない!
    インディアンが出てくるところが、日本人にはなんともミステリアスな感じでよかったです。

    根底にネイティブアメリカンの歴史が横たわっていて重みが増してますね。
    それにしても、日本ではあまりヒットしなかったようでアマゾンでも吹き替え版はありませんでした。

    このブログを読んでなかったら、まず観てないだろうと思います。
    ありがとう。

    • 映画男 より:

      やっと見てくれましたか。これいいですよね。ホールド・ザ・ダークはまだ見てないので機会があれば見てみます。

  4. ブルージャスミン より:

    最近外国映画でも地方独特の雰囲気が感じられる映画が面白いですね。話に惹きつけられました。娘さんの事件は謎のままでしたけどそれが強い弱いという話なんでしょうか…厳しい土地だな…
    彼氏白人ぽくなかったので軽く混乱しました。

    • 映画男 より:

      田舎景色が感じられる映画は良作が多いですね。これはかなりのお気に入りです。

  5. きのこ食べ過ぎ より:

    ブラジルもそうだと思いますが、国土の広い国って、実際問題として警察が治安維持しきれないですよね。