イギリス発、刑務所を出た少年が抱える苦悩を描いたヒューマンドラマ。リアリティーを重視した好感の持てる作品です。61点(100点満点)
BOY Aのあらすじ
子どもの頃10歳の少女を死なせてしまった“少年A”は刑務所を出て社会に復帰する。過去を捨て、新しい人生を送るために彼は自分の名前をジャックと名乗る。
運送業社で仕事の口を見つけた彼は友達に恵まれ、恋人もでき、生活は順風満帆にいくかと思われた。
ところがある日自分の過去が公になってしまい、全てを失うはめになる。路頭に迷ったジャックは行き先も分からないままに逃亡を図る。やがて彼は自分が袋小路に追い詰められたことに気づく。
BOY Aの感想
「ブルックリン」のジョン・クローリー監督による刑務所から出所後の少年の社会復帰物語です。
これを見てふと、日本映画の「手紙」というひどい作品のことを思い出しました。「手紙」は演出が過剰で、とにかく視聴者を泣かせようと必死だったけど、それに対して「BOY A」は自然で、興醒めするようなところは特になかったです。
ジャックは友達思いで、正義感が強いだけに、それだけトラブルにもよく巻き込まれてしまいます。純粋で、ウソが下手で、馬鹿正直だけど、どこか憎めないところがあります。好きな女の子としている最中に泣き出しちゃうところなんかも、今まで愛情と無縁で生きてきたという感じがしてとても悲しいですね。
この監督分かってるなぁ、というところは、ジャックの恋人が小デブという点にあります。
アメリカ映画や日本映画だったら、恋人役は必ず美女を持ってくるのがパターンだけど、この監督はあえてそうせずに、肌が白くて体が大きいから「白いくじら」とみんなから呼ばれている女をジャックと恋愛させます。
ではなぜジャックは彼女のことを好きになったのか。それは彼に一番不足しているのが自分を愛してくれる他人の優しさだからに違いないです。
こんな自分に興味を持ってくれた、というだけでもジャックにとっては嬉しいことで、母親からもろくに愛情を受けてこなかった男は、やはりくじらのような包容力のある女に惚れるんです。
ただ、あのくじらが、自分がくじらということを忘れて、くじらのくせに、くじらのぶんざいで、ジャックの過去を知ると、彼に背中を向けるところがむかつきました。
昨日、今日の罪ならまだしも、哺乳類最大の生き物が、大昔の子どもの頃に犯した罪ぐらいで、器の小さいことをつべこべいうな!!
コメント
私も思いました!あんなに「あなたをわかってあげたいのよ」風なオーラでジャックを包むくせに、秘密を知ってから何も説明のチャンスすら与えず逃げる彼女は酷かった、、。しかし、人間ってそんなものなんでしょうかね?
結局自分は一番可愛いわけだし。色んな意味で自然で人間の正直な感情や思考回路に拘る作品なだけに、彼女が急にトンズラする事も、彼を受け入れるよりもリアルだったのかもしれませんね。
アヤさん
いつもコメントどうもです。本当にあの小デブちゃんにはまいりました。自分からどんどんリードして、言い寄っておいて、最後はポイですから。もう女は怖い。
Boy A (2007)
監督:ジョン・クローリー
出演:アンドリュー・ガーフィールド、ピーター・ミュラン、ケイティ・ライオンズ、ショーン・エヴァンス、アルフィー・オーウェン、シヴォーン・フィネラン、ヴィクトリア・ブレイジャー、スカイ・ベネット、ジョセフ・アルティン、ジェレミー・…
やっとU-NEXTで配信されましたー。
無駄に感動させたり、泣かせようとする演出がなく、そこが逆に心をえぐるような感覚になりました。
加害者、被害者、それら家族、友人、彼女、どの立場にも自分を置くことが出来るので、白黒つけられない繊細すぎるこの問題は本当に悩ましいですね。
私は彼女の選択は責められないと思いましたーww
イギリス映画は大げさな感動演出しないところがいいですね