岩井俊二監督の代表作を、よりオタク向けに、よりシュールにしたアニメ作品。子供も大人も楽しめるというよりは学生向けの映画です。39点(100点満点)
アニメ打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
夏休みの登校日。中学生の典道と祐介は、なずなの前で競泳対決をすることに。典道は、競争のさなかに水中で不思議な玉を見つける。一方祐介は競争に勝ち、なずなに花火大会に誘われる。放課後、皆が打ち上げ花火のことで盛り上がっている中、なずなが母の再婚に悩んでいることを知る典道。どうすることもできない自分に典道はもどかしさを感じ、ふいに玉を投げると、なぜか競泳対決の最中に戻っていた。
シネマトゥデイより
読者のりゅぬぁってゃさんのリクエストです。ありがとうございます。
アニメ打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の感想
新房昭之&武内宣之監督による同名実写ドラマのアニメ版。重要な出来事のターニングポイントに何度も戻って、複数の結末を見せるシュールな恋愛ドラマです。
実写版は登場人物が小学生という設定なのに対し、こちらは中学生。実写版は二通りの結末なのに対して、こちらは何通りもの結末を見せたり、セリフを現代風にしているところなど、微妙にオリジナルと変えてあります。
ただ、軸となるストーリーラインはほとんど同じで、アニメ化するにあたって思い切ったことをやっているかというと、やっていないですね。
どうせやるなら結末を大きく変えてもよかったし、グズグズしてたら花火が終わってたというのでもよかったかもしれません。
登場人物が小学生だったのを中学生に変えたことで、よりオタク向け要素が強くなっていて、教員を巨乳にしたり、よくある二次元のお色気を出そうとしていましたね。ただ、肝心なヒロインに色気がなかったから、あまり効果がなかったんじゃないかなぁ。
ヒロインの少女が奥菜恵に比べると、小悪魔度が全然足りなかったです。あの子はもっと悪くていいのに。なんなら男の子たちを引っ叩くか、待ち合わせをすっぽかすぐらいでちょうどいいです。
よく考えると、すごい悪い女じゃないですか。プールの競争に勝った方を花火大会に誘って、そのまま自分の家出に付き合わせるって。それで「あなたと駆け落ちするから、責任取ってよね」なんて言われたらぞっとするでしょ?
改めて思ったのはこの作品はやっぱり奥菜恵あってこその作品なんだなということです。もちろん今の奥菜恵じゃなく当時の奥菜恵です。
アニメだったら自由にキャラを創造できるんだし、奥菜恵を超えるキャラだってできそうなものだけれど、案外無理なんですね。やっぱり小悪魔って自然に生まれるものなんだなぁ。
アニメからの実写化ではなく、実写からのアニメ化という最近の傾向の逆を行った点においては面白かったです。これは大いにありだと思いますね。
特に内容が難しくて若い年齢層を取り組みにくいストーリーだったら、今後もどんどん色んなストーリーを簡素化して、アニメ化したら受けそうです。ビジネス本とかも漫画にすると、すっと頭に入ってきたりするから。
もちろんわざわざリメイクなんてしないのが一番いいんだろうけど、実写化よりはアニメ化のほうがなぜかずっと好感が持てます、今のところはね。
コメント
上映後すぐに映画館で観て見ながら首を傾げていたのを覚えています。
ヒロインのお父さんの話とか繰り返しのルールとかを考えながら見なければならない上に、それに完全な解答が存在しないために未完成のまま作品として提供された感覚でした。
私と相性が悪かっただけなのかもしれませんが。