日本が世界に誇るエゴセントリックな監督による自己満足100%の映画。どちらかというとネガティブ女子向けです。13点(100点満点)
映画光のあらすじ
視覚障害者向けに映画の音声ガイドを製作している美佐子(水崎綾女)は、仕事を通じて弱視のカメラマン雅哉(永瀬正敏)と出会う。雅哉の素っ気ない態度にイライラする美佐子だったが、彼が撮影した夕日の写真に衝撃を受ける。やがて症状が悪化し、視力を失いゆく雅哉を間近で見つめるうちに、美佐子は……。
シネマトゥデイより
映画光の感想
「あん」、「2つ目の窓」、「七夜待」、「殯(もがり)の森」など毎回安定して駄作を撮り続ける河瀬直美監督による退屈極まりない作品。
自意識過剰で悲観的なヒロインが苦悩するという相変わらず同じ話の展開が見ていて疲れます。芸術的なフランス映画でも撮っているつもりなのか、あまりのテンポの悪さに携帯をいじるしか逃げ道がない、つらくて苦しい闇へとあなたを誘います。
やたらとアップの映像が多く、アップで撮ればなにかしら芸術的な絵になると思い込んでいる人の撮り方をします。
ストーリー性が薄く、展開らしい展開を作れているのはヒロイン美佐子と痴呆症の母親とのやり取り、そして美佐子と視力を失いつつあるカメラマンの男との恋愛ぐらいなもので、いずれにも大した起承転結がありません。
それ以外では美佐子やカメラマンがシリアスに悩んでいるところを延々とカメラが追いかけているだけで、面白いエピソードが一つも出てきません。
本当に盲目の人たちのことを調べたのかなっていうほど、薄いエピソードの数々。唯一ためになったのは、視覚障害者向けの映画音声ガイドが存在するのを知れたことです。
盲目の人たちにとって映画ってどんなものなんだろう、とちょっと想像してみたんですが、物語の中でそこを掘り下げず、健常者のヒロインのルックスとか、彼女の苦悩にばかりにフォーカスしているので、それ以上想像が膨らまなかったです。
そのくせ「光」とかいう大袈裟なタイトルを付けるんだから、おこがましいにもほどがありますね。「殯(もがり)の森」に盲目の登場人物を付け足しただけみたいな内容なんだったら、タイトルも「殯(もがり)の光」でいいんじゃない?
キーワードは夕日ですかね。「追いつかないって知りながら、私はずっと夕日の後を追いかけてた」とかいう青春ドラマのような寒いセリフが飛び出します。それを見て感動している男女。夕日を背景にキスをするツンデレカップル。
抽象的な表現とシーンの繰り返しのしつこさは尋常じゃなく、それでも視聴者に当然自分が伝えようとしていることが伝わると思っているのは、河瀬直美が自分大好きで、エゴの塊だからです。結局あのヒロインも河瀬直美本人でしょ?
河瀬直美の映画を単語で言い表すとこうなります。
「介護、カメラ、つらい私」、「家族、孤独、つらい私」、「田舎、退屈、つらい私」、「芸術、フランス、つらい私」。
現場からは以上です。
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