ピュアで、前向きな主人公を見ているとこっちまで元気になってくる映画。鑑賞後、無性に外に走りに行きたくなってきます。74点(100点満点)
フォレスト・ガンプ/一期一会のあらすじ
アラバマ州グリーンボウに住むフォレスト・ガンプは知能指数の低い少年で、背骨が歪んでいるため脚装具を付けないとまともに歩けなかった。
母親はそんな彼を特別扱いせず、普通の子供と同じように育てたいと考え、女手一つで公立小学校への入学も勝ち取る。入学初日、スクールバスに乗る事となったフォレストは「知らない人の車に乗ってはいけない」という言いつけを思い出して戸惑うが、運転手と互いに自己紹介し合う事で乗り越える。
バスの中では誰もフォレストを隣に座らせなかったが、ただ1人ジェニーという女の子だけは彼のために隣の席を空け、以後2人は自然と仲良くなる。
小学校でいじめの標的にされるフォレストだが、あるとき無我夢中で逃げているうちに走れるようになり、以後彼は脚装具を付けずとも歩けるようになって、自転車でも追いつけないほどの俊足を発揮し続けた。
wikipediaより
読者のバババさんのリクエストです。ありがとうございます。
フォレスト・ガンプ/一期一会の感想
同名小説の映画化で、バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズでお馴染みのロバート・ゼメキス監督によるアカデミー賞を総なめにしたコメディドラマ。
逆境にも決してめげないフォレス・ガンプの半生をアメリカの歴史と共につづった、アメリカ人にとっては哀愁溢れる作品に仕上がっています。
日本ではどちらかというと感動映画といった取り上げられ方をされることが多いですが、話の大部分はベタなコメディ劇で構成されていますね。
子供の頃に見たときは笑いのツボがよく理解できなかったんですが、今になって見直したら結構笑っちゃいました。
エルビス・プレスリーの踊りはフォレスト・ガンプが教えたとか、ジョン・レノンの名曲「イマジン」にかけた会話とか、えびの話しかしない隊員とかアホらしくていいです。
歴史上の人物とフォレスト・ガンプのコラボ合成映像も当時にしては革新的で話題になったのをよく覚えています。
卓球のシーンなんて両手でラケットを持って二刀流で平然と球を打ち返してますからね。あんなことできるなら中国人より上手いだろって。
ここで取り上げられるアメリカの歴史は大統領の暗殺、ベトナム戦争、反戦デモなど混乱や暗黒の歴史ともいえるアメリカの負の部分ばかりです。
しかしそんな時代を生きてきたフォレスト・ガンプは次から次へと起こるネガティブな出来事には全く気にかけず、その時々を一生懸命駆け抜けます。
学力はなくてもアメフトで大学に進学し、アメリカ代表にまで上り詰め、軍に入隊しても上官に気に入られ、戦場で活躍し、勲章をもらうまでになり、卓球を始めたらはまってしまい、アメリカ代表として中国の世界大会にまで出場するようになるなど、何をやっても目の前のことをとことんやり込むフォレスト・ガンプにとっては、アメリカで起きている悲惨な出来事なんてまるで眼中にないのでした。
演出としては大げさで、リアリティーのないサクセスストーリーみたいな展開にはなっているものの、子供の頃から馬鹿にされてきたフォレスト・ガンプがなにをやっても成功してしまう、どんな状況にいても楽しんじゃう、というのは世の中を皮肉っているようでもあって、なかなか痛快です。
生まれつき底抜けに明るくて、根っからの前向きな人って本当にいるからねぇ。人生を楽しむ天才を前にしたら、エセインテリたちなんてどうあがいても敵わないのです。
フォレスト・ガンプの名前の由来なんてKKK(クー・クラックス・クラン)の設立者の名前だからね。すごい名前を付けるなあ、お母さんも。
フォレスト・ガンプが幼馴染のジェニーのことを一途に想い続けるのもおとぎ話のようです。その一方でジェニーは実の父親から性的虐待を受けた過去があり、プレイボーイに出たり、裸でギターを弾くストリッパーのようなこともしたり、ヒッピーになったり、と結構波乱万丈の生き方をしていますよね。
一回目に見たときは気づかなかったのですが、ジェニーは最後エイズで亡くなるんですね。劇中ではあえてウイルスによる感染といった言い方をしていますが、一時性行為やドラッグに明け暮れていたことを考えると、彼女がエイズになったことは明らかでしょう。
一度ジェニーが飛び降り自殺をしかけたのはそのせいだったんですね。エイズ感染の拡大もまたアメリカの黒い歴史の一つだったことを考えると、それまでのストーリーとも辻褄が合います。
冷静に考えると、フォレストのお母さんが学校の先生に体を売って進学校に息子を入学させてもらったり、ジェニーが実の父からいたずらされたり、軍隊の仲間が両足を切断したりといった悲惨なこともエピソードもちらほら出てきますよね。でもそこにフォーカスしていないから最初から最後まで楽しく見られるのでしょう。
だってフォレスト・ガンプからしたらそんなことどうでもいいんだもん。そしてこの映画に好感が持てるのはずばりそういったポジティブなところで、知能が低く、子供の頃からいじめられ、大人になっても馬鹿にされるフォレスト・ガンプを決して可哀想な人物として、弱者として描いていないところです。
フォレスト・ガンプは何もない砂漠の景色を見て感動できる男で、激しい戦争の真っ只中にベトナムの星をふと見上げて美しいと思えるロマンチックな男なのです。
その純粋な姿はむしろ羨ましいぐらいで、ある種の教訓を含んでいるところが多くの人の共感を呼んだのでしょう。素直に楽しかった。でもワーワー泣く映画でもないからね。
フォレスト・ガンプ/一期一会のトリビア
フォレスト・ガンプにもまた様々なこぼれ話があるので、その一部を紹介したいと思います。
1、ランニングのシーンはトム・ハンクスの弟が代わりに出ていた
トム・ハンクスはもともと足が遅かったため、遠くから撮った彼のランニングのシーンの大部分は実はトム・ハンクスの弟であるジム・ハンクスがダブルで出演していたのは有名な話です。
弟のジムも俳優で、声が似ていることからトム・ハンクスの声の代役をやったりすることも多いです。
2、「Bubba Gump」は実在する
フォレスト・ガンプの軍隊の親友であるババの夢はエビ漁で生計を立てることでした。そのためババは四六時中フォレスト・ガンプにエビの話しを聞かせるのでした。
後にフォレスト・ガンプは軍隊の上官と一緒にエビの取引をする「ババ・ガンプ・シュリンプ」を設立しますが、このエピソードがきっかけで、実際にカリフォルニア州モンテレイで「Bubba Gump」というシーフードレストランがオープン。
これが大人気となり、現在では店舗は日本を含む世界10カ国44店舗に広がっています。
3、素人が出ている
ベトナム戦争後、フォレスト・ガンプが勲章をもらうためにワシントンDCに招待されるシーンではホワイト・ハウスの前に一人のTVリポーターが登場します。
実はこの人、たまたまその辺にいた観光客を捕まえて出演させちゃったそうです。ジョージア州アトランタから観光でワシントンDCまで家族で来ていたところ映画に出ないかといわれて、ノリで出ちゃったそうです。なんかいいなあ、そういう遊び心。
4、何年も走り続けたシーンは実話が元になっている
ジェニーに振られたフォレスト・ガンプはある日、思い出したように外を走り出します。そして町を越え、州を越え、大陸を横断してしまうほど、走りに熱中するシーンがあります。
実はあの下りは、1982年にニュージャージーからサンフランシスコまでアメリカ癌ソサエティの支援するために走り続けた16歳の少年ルイス・マイケル・フィグエロアの話をモチーフにしていたのです。
5、エルビスの声はカート・ラッセル
劇中、キング・オブ・ロックンロールことエルビス・プレイリーが登場しますが、彼の声を担当したのは俳優のカート・ラッセル。しかしながらエンドロールに彼の名前は掲載されないほど、シークレット出演でした。
6、リトル・フォレストを演じたのはシックスセンスの子役
ジェニーとフォレスト・ガンプの間に生まれた子供フォレスト・ジュニアを演じたのは後にシックスセンスで大ブレイクする天才子役ハーレイ・ジョエル・オスメントです。この頃から存在感ありますね。
7、続編の製作をトム・ハンクスが断った
世界中で大ヒットを記録したことから当然のごとく、続編の製作の可能性が浮上したそうです。しかしそのとき主役を演じたトム・ハンクスが出演を断り、続編は企画倒れとなりました。トム・ハンクスが出ないフォレスト・ガンプなどフォレスト・ガンプではないからです。
僕的には一番最後のこぼれ話が大のお気に入りです。これ続編なくてよかったよ、本当に。
コメント
コメディですか・・・なかなか文句言いますね(※ほめてます)
トムハンクスの弟が代役で走ってる話は知ってました。ババガンプが実在したのは知りませんでしたね。
フォレストJrを演じたのがハーレイ・ジョエル・オスメント。なかなか有望そうです。
で、これが私の文句
<1、フォレストのお母さんが学校の先生に体を売って進学校に息子を入学させてもらったり、2、ジェニーが実の父からいたずらされたり、
3、軍隊の仲間が両足を切断したりといった
悲惨なこともエピソードもちらほら出てきますよね。でもそこにフォーカスしていないから最初から最後まで楽しく見られるのでしょう。>
2➔ ジェニーのおやじの”ソレ”は最悪やな・・・フォーカスせんでいいわ。
3➔軍隊の仲間ってダン中尉でしたね。足を失った時の怒り。
「俺は足を失ったんだぞ!名誉の戦死を遂げるつもりだったんだ!お前にオレの気持ちがわかるか!」 やり場のない怒りをフォレストにぶつけてましたね(*ノωノ) 彼の痛さが伝わる場面でしたので フォーカスはなおさらしないでほしい・・
1➔フォレストのママと校長か・・・正直 知能指数が低いならば校長の進めるように特殊支援学校のほうがよかった気がしますし、そこからでもフォレストにはチャンスが巡ってきたんじゃないのか、って今にして思いますがね。
そういえば、ママ役のサリーフィールド。「ノーマ・レイ」「プレイス・イン・ザ・ハート」(※二作ともサリーはアカデミー主演女優賞を受賞)のときもそうでしたが アグレッシブ女子な役でした。
「人生はチョコレートの箱」・・・なるほど いい名言を残してくれましたしねえ。
ママ(サリーフィールド) VS 校長(サムアンダーソン) うん!ぜんぜん 熱い一戦を繰り広げる場面があっても普通に見れますよ。
「人生はチョコレートの箱」ってそんなに名言かなぁ。
一口サイズのチョコレートの詰め合わせとして考えればわかりやすいと思うのではないでしょうか?
甘いチョコもあれば苦いチョコもある 人によっては 甘くとも苦くとも 自分の味覚には合わないチョコかもしれない 味の感じ方は一個一個ちがうんですよ。 それは人間関係や選んだ生き方すべて いい時もあれば悪い時もある、ということをママガンプはフォレストに教えてきたんですよ。
最後に一言 エルビスの声がカートラッセルですか。 それも知らなかったです。映画漢さん勉強になります。
あざす。
久しぶりにまたみたいと思いました。
またみたいと思うんだから、本当にいい映画なんだと思います。
初めてみた時、ものすごく面白かったことを覚えてます。
続編の話なんかあったのですか!
これに続編くっつけたら台無しでしたね。
断るところが流石トムハンクスですよね。
こんにちは。先日、デジタルリマスター版が公開されたので、観てきました。
私も本作は「コメディー作品」だと思います。勿論、「感動」もしたけれど、それ以上に笑いました。フォレストのアメフトでのや卓球での無双ぶりや、努力家だけどどこかラッキーマンなキャラは、まるで少年漫画の主人公のようでした。
また、「ハンディキャップを悲劇としない」点も良かったです。本作、色んな作品に影響を与えています。また、大ヒット故に、本当に「ババ・ガンプ・シュリンプ」というお店まで出来ていたのには驚きました。
本作のトリビアもご教示ありがとうございます。確かに、フォレスト・ジュニアの子役、シックス・センスにも出てたんですね。どうりで見たことあるなーと思っていました。
これはコメディー枠ですよね。
お返事ありがとうございます。本当、コメディー枠でしたね。こういう作品にまた出会いたいです。