大切な人を失った男が、犯人をサクッと殺すだけの復讐ドラマ。大袈裟にしていないのは好感が持てますが、ストーリー展開が物足りないです。40点(100点満点)
あらすじ
家族が営むさびれたバーで働くアナ(ルト・ディアス)は、強盗罪で服役中の夫の出所を間近に控え、漠然とした不安を抱いていた。そんな中、もの静かな男ホセ(アントニオ・デ・ラ・トレ)が店に現われ、毎日店を訪れては客やアナの家族とも打ち解けていく。アナはそんなホセに惹(ひ)かれ二人は関係を持つが、ホセの正体はアナの夫が加担した強盗事件の被害者の遺族だった。
シネマトゥデイより
文句
ラウール・アレバロ監督によるスペイン産復讐スリラー。スペインのゴヤ賞受賞作品でありながら、特に見所もサプライズもない至って普通の映画。寡黙な男が復讐心をメラメラと燃やしながら、最愛の女性の命を奪った男たちを探し出して殺していく話です。
主人公のホセは、かつて銀行強盗に結婚するはずだった女性を殺されてしまいます。彼が持っている犯人たちの手がかりは実行犯ではなく運転手役の男クーロのことだけ。
実行犯はみんな覆面を被り、逃亡に成功したことからホセはクーロが出所してくるタイミングを辛抱強く待ち、彼の恋人アナに近づこうとします。
独り寂しく生活しているアナと関係を持ったホセの前にまもなくして刑務所から出てきたクーロが姿を現します。クーロに復讐の協力をさせるためにホセはアナと子供を連れて去り、クーロに圧力をかけます。
アナの身の安全が気になったクーロはしぶしぶ実行犯たちの名前をホセに明かし、車に乗って復讐の旅に同行することになる、というのが筋書きです。
突っ込みどころは、覆面を被っていたとはいえ監視カメラにも映像が残っていて、あれだけ派手な逃走劇を繰り広げていながら、実行犯たちが誰も警察に捕まっていない点ですね。運転手役の男が捕まったのなら、なおさら他の奴らも芋づる式に捕まりそうな気がしますけどね。
ホセとクーロがちょっと聞き込みをしたら、すぐに彼らの居場所を突き止められたのに警察の捜査では無理だったんでしょうか。あんなに簡単に口を割ったクーロが警察の厳しい尋問に耐えられてるとはとても思えませんでしたね。
全体の流れとしては、車に乗って移動し、実行犯を見つけては殺し、また車に乗って移動するというロードムービー風のストーリーになっています。
不思議なのはホセはクーロに対して銃で脅したりはせず、無言の圧力をかけるだけで、暴れん坊のクーロをいつの間にか自分の言いなりにしてしまう下りです。
アナと子供を縛り付けて誘拐したわけでもなく、クーロもアナも逃げようと思えば逃げられる状況なのに黙ってホセに従う彼らの行動が理解できませんでした。
アナは結局誰とどうなりたかったのかもよく分からなかったです。そもそもホセのどこに惹かれて抱かれようと思ったのか、そこが気になります。ホセの眼つき、普通にやばいだろ。
ボクシングジムでアイスピックだかドライバーだかで実行犯を刺殺したシーンは生々しさがあってよかったです。復讐映画にとって仇を取るシーンは主人公の怒りや恨みを表現するためにも非常に重要ですよね。
でもずっと復讐の機会を待ってた割には相手のアジトに素手で乗り込んで行っちゃうし、案外無計画なんですね、ホセって。
せめてナイフぐらい持って行けよって思うし、別にあの場所で殺さなくてもいいですよね。ホセがもっと残念なのは、残虐だったのはあのシーンだけで、時間が経つごとに復讐がどんどんソフトになっていくところです。
最後なんて許しちゃうからね。8年間も復讐のために費やしたのはなんだったんだよ。ホセのだらしなさには心底がっかりしたなぁ。
コメント