ベルギー発、シリアルキラーカップルによる連続殺人ドラマ。国際映画祭向けの映画で、派手さはないものの、最後までは普通に見れる作品です。55点(100点満点)
地獄愛のあらすじ
出会い系サイトでシングルマザーのグロリアが出会った男ミシェルは、孤独な女性に取り入って生計を立てる結婚詐欺師だった。ところがグロリアは彼の正体を知っても、娘のこともどうでもよくなるくらいミシェルに執着し、自分から離れることを禁じた。やがて二人は、共に結婚詐欺をするようになり、さらには次々と女性を手に掛ける殺人鬼に変貌する。
シネマトゥデイより
地獄愛の感想
ベルギー人監督ファブリス・ドゥ・ヴェルツによる殺人鬼カップルが巻き起こすサイコスリラー。
主人公の男女と被害者女性による4つのショートストーリーによって構成されている映画で、ちょっぴり色っぽくそしてホラー風に仕上げてあります。
結婚詐欺師の男ミシェルは、独り身の女の弱みに漬け込むのが天才的に上手く、バツイチ、シングルマザー、未亡人といった女たちを次々と落していきます。
その一人が出会い系サイトで知り合ったグロリアです。最初は一度騙して終わりのはずだったのが、グロリアは久しぶりの性行為に興奮したのか、ミシェルに心底惚れてしまい、彼と一緒にいるためなら詐欺の手伝いでもなんでもするといって二人は手を組みます。
ところがいざターゲットの女性をミシェルが言葉巧みに騙し、大金を取れそうになってもグロリアはミシェルと別の女性が関係を持つことに強い嫉妬を覚えていきます。
そしてあろうことかお金を奪うだけでなくグロリアは女性たちを次々と殺していく、というのが二人の犯行のパターンです。
男に騙された女が、自分を騙した男に加担して加害者側に回る、というのはなかなか面白い発想でした。でもグロリアが狂っていく過程があまりにも唐突で、極端でしたね。
会ったばかりの男を自分の家に泊めて翌日娘と男を二人だけにして、自分は仕事に行ってしまうシングルマザーってなんだろうって感じで、もともとぶっ飛んだ女だったならまだしも、それまで真面目にやってきた女が取る行動とはとても思えませんでした。
グロリアはイライラすると、子供みたいに地団駄を踏み出します。ミシェルはそんな彼女の怒りを収めようと変顔をして笑わせようとします。二人のそんなやり取りが気持ち悪くてしょうがなかったですね。
1940年代後半に起きた連続殺人事件と実在するカップル、レイモンド・フェルナンデス&マーサ・ベックを基にしているわりには全体的にリアリティーはなく、それほど恐怖はありませんでした。
嫉妬深いの女が男に狂って暴走するエピソードの連続で、悪い男に騙された女というより、頭のおかしい女に手を出してしまった詐欺師男の悲劇と破滅のストーリーといった感じです。
前述の通り、多少色気のある演出をしていますが、なんせターゲットの女性たちはかなりの熟女ばかりなので、マニアックな部類といえそうです。
唯一、最後のエピソードに登場する未亡人の女性が美人なマダムで色気もムンムンだったのになぜかそのマダムに限っては絡むシーンはありませんでした。監督は一体何を考えてるんでしょうか。もしかして年増の女性にしか興味ないのかな。それはそれでアレルーヤ!
コメント