フランスの中学校を舞台に学校生活をドキュメンタリータッチで描いた傑作。その完成度の高さに思わずタメ息が出ました。88点(100点満点)
パリ20区、僕たちのクラスのあらすじ
フランス、パリのとある中学校でフランス語を教える教師は、日々反抗的な年頃の生徒たちと格闘している。様々なバックグランドを持つ個性豊かな生徒たちは何かにつけて自分の意見を強く主張し、すぐに言い争いが始まってしまう。
トラブルはもはや回避不可能。それでも教師は今日もいつもどおり教壇に立つ。生徒ひとりひとりの将来を気にかけながら。
シネマトゥディより
パリ20区、僕たちのクラスの感想
ローラン・カンテ監督によるカンヌ映画祭パルム・ドール受賞&アカデミー賞最優秀外国語映画ノミネート作品。
どうみても演技しているとは思えないリアルな授業風景。ただフランス語のクラスを見せられているだけなのにあれだけ興味深いのはなぜなんでしょうか。不思議な映画です。
勉強嫌いの生徒たちを抱えながらも決して情熱を捨てることのない教師の忍耐力には感服しました。
その一方で生徒の知能レベルが低くすぎて話にならなかったですね。フランスの中学生って本当にあんなにバカなのかなぁ。
担任に「人から聞いた話なんだけど、先生ってホモなの?」などと質問する生徒もアホなら、それにいちいち答えてる教師のほうもかなり間抜けです。
日本に比べて生徒に発言権がありすぎて、無駄口が多くなり、授業が成り立たなくなってしまうという状況を見ていると、やっぱり子どもはバシバシ厳しく躾ける必要があるんじゃないかと思えてきますね。
あんなわがままな子どもたちをまとめなければならない先生たちの苦労は想像に難しくないです。
それに対し、生徒たちに自由を与える代わりに、何か問題が起こったときには結構あっさり退学処分にしてしまうシビアな面は驚きで、そういった日本との考え方、教え方、方針の違いが面白かったです。
日本で学園ものといえば、必ず美女の生徒がでてきて、その子ばかりをクローズアップする幼稚な手法がとられるけど、この映画はあくまでも全体を捉えていて、セリフの量の違いこそあれど、どの生徒も特別扱いをしていないのがいいです。
ただ、あくまでもこれは「リアルでよくできた映画」であって、間違っても感動するとか興奮する映画ではないですね。完成度の高い芸術路線の映画ってことです。
ちなみにこの映画を蹴落としてアカデミー賞を受賞したのが「おくりびと」です。それはそれで嘘だろって話なんですが。
コメント
親の仕事でロンドンとパリで7歳から14歳まで過ごしました。どちらも移民と所得によるクラス別の明確な社会です。日本をはずせば、ほぼ世界中がそうだと思います。
フランスの教育システムは公共サービス内とそれ以外でかなり運用されているものがものすごく違います。
エリートをめざす学生は幼少期から一般的な公共サービス内以外で学ぶことが多いです。
特に、フランスやUKは移民問題もあり教育システムは
ものすごく差があるのは事実です。
でもその差を克服するのは本人の努力次第です。
私はアフリカ系やアラブ系の移民の中でものすごく努力する学生はすごいと思いました。東欧系の移民の中でも努力する学生はやはり友人になりました。見習うことも多かったし、強さがありました。しかしながら、一般的に厳しい環境に負けて犯罪に走る移民も多い事実もあります。
masakiさん
コメントありがとうございます。どこの国でもやっぱりマイノリティーは大変ですよね。それを乗り越えていく人たちの強さは並大抵のものではないと思います。