官能小説の映画化で、村川絵梨の和服姿とベッドシーンが見所。その一方で陰気臭く、不幸オーラ漂う、悲観的な映画です。45点(100点満点)
花芯のあらすじ
園子(村川絵梨)は親が決めた婚約者の雨宮(林遣都)と結婚し、息子も授かるが夫婦の間に愛情はなかった。ある日、夫の転勤で移り住んだ京都で、夫の上司である越智(安藤政信)と恋に落ちてしまう。園子は初めて抱く恋心に困惑しつつも、次第に欲望のおもむくままに越智との性愛に溺れていく。
シネマトゥデイより
花芯の感想
「海を感じる時」などで知られる安藤尋監督による官能ドラマです。主人公園子を演じる村川絵梨がちゃんと脱いでいて、ベッドシーンは色っぽいいです。それに対しストーリー性に欠け、話が暗くジメジメしていて不幸せなので、後味がそれほどいいものではないです。
ストーリーは、性に開放的なヒロインが結婚後も夫を愛することができず、隣人に恋をし、彼との欲望に溺れても決して満足感を得られずに結局虚無感に襲われていく、といった内容になっています。
園子は生活全般、特に性生活に不満足感を漂わせた女で、夫に抱かれるのを極度に嫌がり、夫の上司のイケメン男に憧れを抱きます。あの人に抱かれたらさぞ幸せだろうなあと考えながら毎日を過ごし、夫にも上司に恋をしていることを平気で告白してしまいます。
ところがイケメンとの肉体関係がいざ現実のものとなると「あれ? なーんだこんなもんか」みたいな顔をします。性欲に翻弄されるとはまさにあのことで、肉欲オンリーで生きていくと、それすらも満足できなくなるといった皮肉な展開でした。
ああいう女性多そうですよねぇ。何気ない気持ちで結婚したはいいけど、段々夫との肉体関係が嫌になって触られるのも気持ち悪いみたいな。男からすると、結構厳しい現実的な話で目を塞ぎたくなります。
ただ、園子が不幸なのは他人はもちろん自分のことも幸せにする術を知らないことに尽きます。彼女に足りないのは他でもないサービス精神なんですよ。結婚に理想を求めていなくても、愛を認めなくてもいいんですが、もっと思いやりは持てるはずです。
いくらなんでも結婚直後から夫と愛し合っても、うんともすんとも言わない、あの態度は問題でしょう。特に直後に天井を見つめながら退屈そうにするのはやめてもらえませんでしょうか。
夫が下手だったのかもしれない。全然気持ち良くなかったのかもしれない。それでももっと盛り上げる精神がないといけませんね。
一事が万事あの調子だから、せっかく理想の男といい関係になれても園子は自分でダメにしちゃいます。平気で「あなたに恋はしたけど、それはもう終わったの。でもこれを愛と呼びたければそれでもいいわよ」とか言っちゃうんですよ。不器用ですねえ。なんでも正直になればいいってもんじゃないからね。ある意味、可哀相な女なんですね。
さて、この物語は同名小説を基にしたらしいんですが、どんないい女が書いた小説なんだろうと思ったら原作者は瀬戸内寂聴でした。
びっくりしたなあもう。いけねえ、罰当たりな想像しちゃったよ。
コメント
たまたま放映されているものを見ました。
女優さんが余りにも綺麗な方なのでその魅力で作品にのめりこんでいきました。
寂聴さんの原作なのと監督の作品に対する思い入れをずっと考えさせられました。
園子は社会的には許されない感性の持ち主だとは思われますが、実は理性とは矛盾している性愛の形が存在している訳で道徳感が薄れている昨今ではなおさら増長していると思います。
男女間のトラブルの大きな問題になるので、このような問題について考えて置くのもいいのかも。
個人的には旦那に正直に告白するのは反対だ、不義を働くなら最後まで黙っていて欲しい、それは浮気をする者の最低の筋だとは思う。
女房が浮気をしたのを知ったなら血へどを吐くような思いをしても離別すべきだと思う、それは一生負わなければならないし、家庭は破綻してしまっていると思うからです。
園子はもともと人との接触には慣れていない性格なのだし、独りで生きていくのは本望なのかもしれない。