フランスに住むチュニジア移民をクローズアップしたファミリードラマ。物語が会話を中心に進んでいき、ひとつひとつの言葉からそれぞれのキャラクターが徐々に形成されていくようで面白いです。74点(100点満点)
クスクス粒の秘密のあらすじ
チュニジア移民のスリマーヌは工事現場で働く労働者。30年以上黙々と勤務してきた彼は61歳にしてある日突然職を失ってしまう。
うだつのあがらないスリマーヌを元妻や家族は、邪魔者扱いにし、スリマーヌ自身そのことを感じながらも反撃に出ることはない。そんな彼を励まし、一番応援してくれるのは恋人の娘リム。スリマーヌはリムの助けを借りながら船上レストランを開くことを計画し、名誉挽回を目指すが・・・・。
シネマトゥディより
クスクス粒の秘密の感想
「アデル、ブルーは熱い色」で知られるアブデラティフ・ケシシュ監督のハートフルファミリードラマ。
やりとりが自然すぎて登場人物のみんなが本当の家族なんじゃないかと思えてくる。とにかくよく喋る強い女たち。ちょっと気弱で情けない男たち。彼らを見ていると、アラブ系は男尊女卑などというイメージを覆される。
なによりゆっくりとしたリズムで始まったかと思うと、終盤に向けて緊張感が倍増していく、あの演出がすばらしかったです。あんなに駄目男が集った家族も珍しく、最後はドタバタ劇になってかなり笑えました。
余韻を残すラストの締めくくり方も上手い。家族をテーマにした映画ですが、チュニジア移民をひとつの家族として捉えていて優しい気持ちにさせられました。
みんな悪口は言うは、噂話はするはで、一見鬱陶しい感じなのに、いざとなったらちゃんと協力してくれる。人と人とのつながりが薄くなった現代社会に、口うるさくても面倒見のいい人たちがいてくれるとすごく安心しますねぇ。
さて、最大の見所はやはりベリーダンスのシーンでしょう。むちむちの体をした美少女リムがきわどい格好で披露した踊りは動物的かつ官能的。
その前のシーンからリムのお腹が不自然に出ているのがどうも気になったんですが、あのシーンで納得しました。ベリーダンスは痩せた女に躍らせるより、あのぐらいぽこっと腹が出た女に躍らせるほうがインパクトが強いのでしょう。
あれをリムのような美少女が踊ったからまだよかったけど、40オーバーの女が踊っていたらグロテスクで見ていられなかったと思います。
リムは腹が出てるけど、セクシーであるギリギリの境界線に立っていましたね。お腹には微妙にシワができていて、ちょと不気味ではあるけど、それでもまだなんとかセーフといった感じでした。
その辺の微妙な色気を理解しているとは、この監督はただものじゃないです。おそらく変態の部類に入るでしょう。
コメント
人間の嫌な面、良い面、いろいろ出てきましたね。
みんな演技が上手いし、ストーリーに吸い込まれていきました。
最後はダンスで頑張った娘は好みのタイプでよかったなぁ・・監督と気が合いそうです^^
ラストは絶妙な終わり方で余韻を残すところはさすがですが、個人的にはバカ息子に一発くらい食らわせたかったですが。
今回も十分楽しめました。
いつもナイスなセレクション、ありがとうございます。
ラストにかけての盛り上がり方が上手いですよね