バヌアツ共和国とオーストラリアの合作による部族の男女による恋愛ドラマ。素人俳優を起用しているのにもかかわらず、完成度の高い作品です。66点(100点満点)
タンナのあらすじ
タンナ島には世界でも数少ない、昔ながらの伝統文化を守って生活している部族が存在する。族長の孫ダインは、幼馴染の若い少女ワワに恋心を抱き、結婚を夢見ていた。そんな中、別の部族と争いが始まり、ダインの父親が殺されてしまう。
なんとか抗争を食い止めようと、部族の族長同士が話し合ってお互いに嫁を差し出すことで合意する。その嫁に選ばれたのが他でもないワワだった。
ワワとダインはこれに猛反対し、村から逃げ出していく。約束を破棄すれば また部族同士の争いに発展しかねない状況で、ワワとダインは両方の部族から追われることになる。
タンナの感想
2017年アカデミー賞外国語映画ノミネート作品のひとつで、バヌアツ共和国に属する島の部族の生活習慣をつづった貴重な映画です。
ドキュメンタリータッチで描かれ、実際に監督がタンナ島に住んで、現地の部族の人たちをキャスティングしている、リアリティー溢れる映像とストーリーに仕上がっています。
物語は原住民族版のロミオ&ジュリエットといった感じで、結婚を許されなかった男女の悲劇を大自然で暮らす彼らの風習や生活と共に分かりやすく伝えています。童話や昔話風なのでディズニーがアニメ映画化したとしても不思議ではないです。
火山の映像がとにかく神秘的で、あれだけでも十分に見る価値があります。言うことを聞かない子供を山の頂上に連れて行って、理屈ではなく自然に対する畏怖を通じて教育するというシーンが印象的でした。あれは近代社会でも通用しそうな話です。
劇中に登場する二つの部族はいずれも男女共に上半身裸で生活しているワイルドな人々で、男たちは勇ましく、ほとんど脂肪のない引き締まった身体をしていて、男の僕から見ても格好いいです。普段の生活が肉体労働そのものだとしても、ナチュラルでどうしたらあんな体になるんですかね。
一方で女たちはみんな肥満体系なのが興味深かく、男ばかりに働かせて家で怠けてるのか、あるいは遺伝的にそうなのでしょうか。太った女が美人だという美的感覚があるのかもしれませんね。
なぜかヒロインのワワだけいつも手ブラ状態で、胸を隠していたのがちょっと気になりました。あれだけワイルドな人たちの中に一人だけ近代社会的感覚で恥ずかしがってる女の子がいるとやけに不自然です。
結婚前に胸をさらけ出すのはNGだという部族の風習なのか、それとも放送コード的な意味合いで製作側が”自粛”したのかは結局のところ分かりませんでした。
もし倫理的な圧力を受けてのことなら、なんだか気持ち悪い話ですね。裸族に向かって「映画に出るなら乳首を隠しなさい。未成年なんだから当然でしょ」とか言うおっさんやおばさんがいるということです。そんな人たち今すぐ弓矢にでも撃たれたらいいのに。
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