自然と動物と家族をテーマにしたサイレントアニメーション。ストーリーはありきたりなものの、世界中の大人と子供が理解できるような作品です。50点(100点満点)
レッドタートル・ある島の物語のあらすじ
吹き荒れる嵐の中、海に投げ出された男が、かろうじて生き残ったものの波に乗って見知らぬ無人島に流れ着く。彼は何度も力を振り絞って島から出ようとするが、その度にまるで見えない何かに操られるように島へと連れ戻される。万策尽きてしまった男の前に、ある日、一人の女性が姿を現し……。
シネマトゥデイより
レッドタートル・ある島の物語の感想
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督によるアカデミー賞長編アニメのノミネート作品。スタジオジブリと海外の合作で、セリフが一切なく、絵と音楽だけでストーリーを伝えている壮大な自然と人間のドラマ。絵は雑だけれど、話が分かりやすく、子供も大人も理解できる童話風の作品に仕上がっています。
無人島に漂流した男が、ありとあらゆる知恵を使って生き延び、イカダを作って何度も島から脱出しようと試みるうちに赤い亀と出会い、人生が変わっていくというのがおおよそのストーリーラインです。
亀はやがて女に姿を変え、男と家族を築きます。それまで無人島を脱出することばかり考えていた男は、家族と一緒ならまあいいかと、大自然の中で質素ながらも幸せな生活を送るようになります。
大切なのは家族の幸せだけ、といった至って平和な話なので、親子で鑑賞するには絶好の映画でしょう。「キャスト・アウェイ」と「かぐや姫の物語」を混ぜたような話で、ファンタジーにせつなさを加えたような、どこか日本らしさを含んでいます。
ただし、物語に特に捻りはありません。絵本や昔話で聞いたことのあるようなエピソードを混ぜ混ぜして改良した程度の内容です。
亀女ならもっと子供をたくさん生んでもいいような気がしましたが、結局一人しか生みませんでしたね。身体能力はめちゃくちゃ高いのに意外と生殖機能は普通、というのが物足りなかったです。棒で頭を殴られてもビクともしない彼女なら10人くらい平気で生めそうですけどね。
可もなく不可もなく、といった完成度で、これを見て得をすることも損をすることもないでしょう。「かぐや姫の物語」の高畑勲監督が製作に参加しているせいか、絵はかなり雑で、ビジュアルで魅了されることはまずないと思います。そこがなんとも惜しいですね。あれで映像にもっと力を入れていたら、かなりの名作になっていた可能性があります。
BGMはセンスがいいけれど、セリフもなく静かな演出が続くので、眠くなる時間帯もあります。どちらかといえば家で見るほうが適しているかもしれません。
いずれにしろスタジオジブリが海外と手を組む、というのは素晴らしい試みだと思います。どうせならもうつまらない職人魂とこだわりを捨てて、ディズニーと組んじゃったらいいのに。
それでとりあえずは大金を稼いで、日本のクリエイターたちに還元しないと、ジブリは今後衰退していく一方でしょう。日本のクリエイターたちこそ「やりがい」を餌に相当ブラックな仕事をさせられているだろうから。
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