ジム・キャリー主演、ポジティブに生きることの大切さを問う哲学ラブコメディー。ポジティブシンキングを大げさにして面白おかしく描いたような内容で、ややオーバーな表現は目立つものの、気軽に見られる作品です。52点(100点満点)
イエスマン “YES”は人生のパスワードのあらすじ
仕事でもプライベートでも「ノー」を連発し、親友の婚約パーティーまですっぽかしてしまう後ろ向き男カール(ジム・キャリー)。
生き方を変えようと決心した彼は、いつどんなときも「イエス」と言うルールを自分に課す。その結果、偶然知り合ったアリソン(ゾーイ・デシャネル)から好意を持たれるなど、運気を上げていくカールだったが……。
シネマトゥデイより
イエスマン “YES”は人生のパスワードの感想
「アントマン」のペイトン・リード監督による自己啓発コメディー劇で、ダニー・ウォレスの同名小説の映画版です。
主演のジム・キャリーは癖があるので、好き嫌いもかなり分かれる俳優じゃないでしょうか。最近はそうでもないけれど一時期はコメディー映画=ジム・キャリーというぐらい、ゴリ押しだった時期もありましたよね。
あの時期にジム・キャリーに対して僕は一種のアレルギーを持っていました。ジム・キャリーの顔芸とか、ずっこけ芸とか、はっきり言って全然笑えないので、僕は大分彼の作品はスルーしてきたほうです。
ただ、この映画に関していえば、それほどジム・キャリーのいつものしつこさもなく、「どうだ面白いだろ?」的な押し付けがましい笑いも少なかったように思います。ハリーポッターパーティーとか、ちょっと笑っちゃいました。
物語は、ネガティブで人付き合いの悪い男が、自己啓発セミナーに行ったのをきっかけにどんなことに対しても「イエス」という誓いをたて、人生を前向きなものに変えていく、という大変分かりやすいもので、恋愛を通じて主人公が幸せになっていく過程を描いています。
原作が実体験を基にした小説だけに、この映画も本当の話だとか言って大騒ぎするスピリチュアル馬鹿がいて困るんですが、どう見ても脚色だらけで、リアリティーに関してはお話にならないレベルです。
主人公のカールは浮浪者に頼まれたら行きたいところまで車に乗せて連れて行ってあげ、お金をせがまれたら持ち金を全て恵んであげ、お婆ちゃんに性行為をせがまれても断らず、融資の相談には内容に関わらずオールOKを出してしまうなど、それぞれのエピソードはかなりオーバーにしてあります。
「イエス」の意味を履き違えた、そうしたカールのはちゃめちゃな行動がネタであり、最大の笑いどころになっていて、そのくだらなさにどれだけ付き合えるかが、評価の分かれ道でしょう。
僕的には、ヒロインのアリソンのキャラが可愛かったのが救いでした。ファンが数人しかない売れないバンドを楽しそうにやり、エクササイズをしながらピンボケ写真を撮影するという誰にも理解されない活動にも幸せを見出しているところが素敵です。
自己啓発セミナーでの誓いを無理やり守ってポジティブになろうとしている主人公のカールより、ただ純粋に好きなことをしているアリソンのほうがよっぽど前向き、というのがいいですね。
実生活でもそうだけど、ポジティブになろうなろうとしている人に限って、すごいネガティブなオーラが出てたりするじゃないですか。手当たりしだいに占いとか宗教とかセミナーとかにはまってしまい、精神世界に漬かりすぎて、自分の考えが定まらなくなってる人。
そういう人が、人に親切にすれば絶対に自分も親切にしてもらえるはずだとか言って、この映画のように知らない人を車に乗せたりしたら危険極まりないです。特に外国ではそんなことしちゃ絶対だめですよ。
コメント
今年最後に観た映画。
Noは新しいYES。
5秒ルールをもっとポジティブにした映画。
面白かったし、良い映画だと思いました。
来年も、楽しい映画批評をお願いします。
良いお年をお迎えください。
ありがとうございます。こちらこそ2019年もよろしくお願いします。