世界の有名監督が東京を舞台に撮ったオムニバス映画。どの作品も批判的ではなく、東京を美しく芸術的に描いていてくれているのが見ていてココロ温まります。69点(100点満点)
映画TOKYO!のあらすじ
インテリア・デザイン
田舎から恋人と一緒に上京してきたヒロコ(藤谷文子)は、友人の家に居候しながら東京で新しい生活を始める。
映画監督を目指す彼(加瀬亮)の夢を手助けしているうちにふとヒロコは自分には何も目標がないことに気付く。自分は一体何がしたいのだろうか。そんな悩みを抱えていると、ある日突然自分の身体に異変が起こる。
メルド
突如としてマンホールから現れた怪人メルドは、道行く人たちに悪さを働いては、その奇異な姿や行動から人々に恐れられるようになる。メルドの行動は徐々にエスカレートしていき、やがて街中で手榴弾を投げ、大勢の人々を殺戮する。
警察に逮捕されたメルドは、世界各国で大きな影響力を発揮し、“メルド現象”を巻き起こす。世界に3人しかいないというメルドの言葉を話す通訳を交えて、日本の裁判で怪人に判決が下される。
シェイキング東京
親から仕送りをもらい10年間も引きこもり生活をしている中年の男。彼は毎週土曜日になるとピザを頼むものの、人との関わり合いを避けるため宅配係の顔は決して見ようとしない。
しかしある日ふとしたことで顔を上げると、そこにはハッとするほど美しい少女(蒼井優)の姿があった。恋心を抱いた男は再び彼女に会おうとピザを注文するが、少女ではなく別の人間がピザを届けに来る。
その人によると、少女は仕事を辞めて、家に引きこもっているという。長年家から一歩も出たことのなかった男は勇気をふりしぼって彼女に会いに行くことにする。
映画TOKYO!の感想
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノの三人が撮ったショートストーリー。東京都知事に代わって思わずありがとうと言いたくなる映画です。
キャストのチョイスも抜群にいい。特にティーヴン・セガールの娘、藤谷文子の演技がとても自然で、庶民的で、優しさが感じられますね。
3作の中でもインテリア・デザインが一番面白かったです。特別な目的もなく生きている女も嫌いじゃないです。彼氏を支えるというのが彼女の立派な仕事なわけで、我を出さずに裏方に回れる大和なでしこなんて最高です。
静かに、そしてしっかりと椅子のように男の足元を支えていく、そんな女たちは今の時代どこに行ったら会えるんでしょうか? まず東京にはいそうもないなぁ。
さて、どの作品もそれなりに良かったんですが、強いていえば3作の中で「メルド」だけかったるいシーンが多々ありました。
メルド語からフランス語、フランス語から日本語に通訳するのをいちいち聞かされるのは結構きつかった。
ただ、裁判官が「なぜあんなに人を殺したのか?」と質問したのに対し、メルドが「人間の中でも日本人が最も汚らわしいからだ」と答えたのには笑えたと同時に誰も口にしなかった真実をまんまと暴露されたようで、心臓を貫かれたような衝撃を受けました。
コメント