船乗りの部族を主人公にした、映像と歌はいいのにせっかくのストーリーが物足りないディズニーアニメ。キャラクターが印象に残らず、脚本の出来が悪いため結構退屈でした。38点(100点満点)
モアナと伝説の海のあらすじ
生来の航海士である少女モアナが、父の反対を押し切って伝説の島を探索する航海に出る。モアナは半神マウイ、ニワトリのヘイヘイと共に旅することになる。モアナとマウイは旅の途中で、マウイの宿敵タマトアや海賊カカモラ、溶岩の魔女テカなどの強敵に立ち向かう。
wkipediaより
モアナと伝説の海の感想
ロン・クレメンツとジョン・マスカー監督によるウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの作品です。美しい映像とミュージカルの要素をふんだんに取り入れていて、「売れる作品」をかなり狙いに行っていますね。
ほぼ20分置きぐらいに歌って踊ってのシーンが入るのでミュージカル映画といっても間違いではないでしょう。音楽は大分作りこんでいて、悪くないです。
映像もきれいで、海のシーンなんかは波の動きとかがかなりリアルでした。それに対してキャラクターは瞳が大きく、まん丸で日本の少女漫画みたいでしたね。
売れるかどうかといったら、それなりに売れるんでしょうが、面白いかといったら面白くなかったです。メッセージ性がないし、子供が見て教訓を得られるような内容にもなっていないです。ストーリーはご都合主義だし、あまりにもパターンにはまっていて先が読めてしまいました。
さっきまでピンピンしていたお婆ちゃんがいきなり死ぬ下りなんて無理やりすぎます。ディズニーは「自立とアイデンティティーの探求」のストーリーラインを保つためにいつも登場人物の家族を無理やり死なせますよね。
話の大部分が少女モアナと半神マウイのやり取りに終始しますが、この二人の会話があんまり面白くなく、もっと笑いがあればまだ見ごたえがあったでしょう。それが喧嘩したり、仲直りしたりのツンデレを繰り返しているだけで、結構どうでもよかったですね。
いかだに乗って広い海を渡るモアナとマウイの目的は、ハートを女神様のもとへと返しに行くことだけで、それ以外の伏線やサプライズが全くなく、二人がほかにやることがないのがストーリー性に欠けます。
だから航海の途中途中でほぼ背景もなく、関係性もない敵を仕方なく登場させ、危険を作っていたのが苦しい演出に見えました。敵キャラが敵になりえていないんですよね。因縁もなければ、そもそも戦う必要がないキャラクターばかりで、存在の意義を感じられませんでした。
>>モアナと伝説の海の出演キャスト&登場キャラプロフィールまとめ
アメリカ人が大好きな「ヒーローになる」と「地球(島)を救う」がキーワードになっていて、ポリネシアの民族の話なのに主人公たちの頭の中が完全にアメリカナイズされているのが笑えます。冷静に考えると、いかだを車に変えたらコテコテのカーチェイス映画になりそうなもんです。
ラストのモアナが女神にハートを返すシーンなんかはどこか「風の谷のナウシカ」を連想させました。ラスボスがあんなに素直に言うことを聞いてくれるなら、それまでの戦いはなんだったんだって話ですが。
全体的に良く言えば子供向けの映画、悪く言えば子供騙しの映画です。人間社会という危険な海を渡ってきた大人たちならこの程度の映画には決して騙されないはずです。
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