ご存知、新海誠監督による社会現象を巻き起こした恋愛アニメーションドラマ。男子と女子、都会人と田舎の人の体が入れ替わる、時空を超えた物語と演出が素直に良かったと思えました。66点(100点満点)
君の名は。のあらすじ
1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。
シネマトゥディより
ジゼルさん、tkoさん、ぼんやりさん、チカラさん、BJTKさんからのリクエスト作品です。これほど多くの方から同じ作品のリクエストを受けるのは初めてです。ありがとうございました。
君の名は。の感想
「ほしのこえ」、「秒速5センチメートル」、「言の葉の庭」、「星を追う子ども」、「天気の子」などとはレベルが違う完成度の高いアニメ映画。ストーリーも脚本も演出も一定のレベルを保っていて、過去の新海監督のひどい作品群が嘘のような出来の良さでした。
つまらない映画だったらボロ糞言ってやろうかと意気込んで見たんですが、いい意味で期待を裏切られ、十分楽しめましたね。誰の作品であろうと面白いものは面白いんです。新海監督に対しては素直に成功を祝福したいです。おめでとうございます。
この映画の最大の勝因はやはり脚本の成長にあると思いました。絵はそれまでの作品でも普通に綺麗だったので特に変化は感じられません。それに対してセリフは他の作品と比べても、ナルシシズムとオタク度とポエム度ががかなり取れていて、大分大衆向けになりましたね。聞き捨てならないほど寒いセリフはほとんどありませんでした。
男女の体が入れ替わる、というのは実はかなりありきたりなプロットです。世界各国の映画やドラマで、同じパターンが使われていて、女の体になった男が自分の胸を触って驚いたり、男の体になった女が女言葉を使って笑いを取るといった下りは、何度も見たことがあるはずです。
それでもなぜこの映画はそんな使い古しのプロットでもオリジナリティーを出せたんでしょうか。一つは男女の体が入れ替わるだけでなく、大都会の東京と、岐阜の田舎町といったコントラストが加えられていたからというのもあるでしょう。
また、片方は彗星災害の後、もう片方は災害前といった時間軸にまでに違いがあったのも予想できなかった展開で、意表を突かれました。
また、口噛み酒や組み紐といった日本の伝統文化を感じさせるスパイスを織り交ぜているのでいいですね。外国人も喜びそうです。実際海外でもかなり評価が良かったようですね。
中盤に時間軸の違いが明らかにされてから、一気にクライマックスまでスピーディーな展開になっていく演出が上手く、挿入歌の使い方も効果的でした。
一つ感じたのは、製作側がラストをどういうオチにしようか迷っているかのような印象を残しましたね。終盤は引っ張りすぎた感がありました。
御神体がある山で二人がやっと出会えて、そして短い時間を惜しみながら別れる。あれで終わっておけば十分にロマンチックなラストだったと思うんですが、なんであの二人が社会人になるまで引っ張るのかは、よく分かりませんでした。
隕石衝突で三葉をはじめ、村の人々は果たして死んだのかどうかという部分も謎として残しておけば、色々なファンセオリーが生まれて、議論を呼んだことでしょう。余韻や謎を残すという選択肢もあったのに、分かりやすいハッピーエンドにしたのは、やはりそっちのほうが大衆受けするんでしょうね。
相変わらず劇中にスポンサーブランドのロゴなんかを挿入していて、多少の商売っ気は出ているんですが、他の作品ほどはひどくなかったです。キャスティング、選曲、東宝による監修・配給など、ビジネス面においてもバランスが取れていて、冴えていましたね。なによりこれだけ興行成績を挙げたら、様々な相乗効果があって、経済面では誰も文句は言えないでしょう。
特にこの映画によって岐阜県を訪れる人が増えるなら、それはそれで素晴らしいことです。僕は聖地巡礼をわざわざしようとは思いませんが、映画がきっかけで田舎の経済が活性化されるなら、多少の騒音や迷惑行為は目をつぶって、地方自治体は素直に感謝するべきです。
これからは県や市が積極的に映画に支援して、自分たちの土地や伝統と絡めたストーリーをプロモーションしていくべきなんです。映画がたまたまヒットしたから村の観光が潤った、というのじゃダメなんですよ。観光業を活性化させるために映画を作るべきなんです。
この映画でウハウハになった岐阜県飛騨市は、新海監督をお迎えしてVIPサービスしてあげないとね。
ついにDVD&ブルーレイの発売がスタートしました。
コメント
いつも読ませてもらってます。
さて、この監督のアニメは映画男さんはよく言ったことがなかったから
今のブームにも無関心で来ましたが。。。。
66点!? ホントに~?!
見たくなりました。
見たらまたコメントしますネ。
かめさん
ちょっと褒めすぎちゃったかもしれませんが、やっぱり売れただけあるなぁと思いました。
はじめまして、UNEXTからふらりと立ち寄らせていただきました。
共感できたレビューがありすぎて、あちらこちらを拝見しながら、楽しく読ませていただきました。
特に点数が低い作品のレビューが面白くてシビアでここまで言うか・・・ってかなり笑えました。
UNEXTに一般客のレビューがなくなってしまい、つまらない映画を観終ったあと、どこにこの不満をぶつけていいのかと、視聴料返せ!と叫びたいw そんなこんなで彷徨っていたところ、このブログを見つけて少し解消されました。
ちなみに観たのは「ヘイトフル8」「復活」の2本です。
良かったレビューは、アスガー・ファルハディ監督作品と「バードマン」の酷評ですかねw
興味持ったのは「シチズンフォー」ぜひ観たいと思いました。
R.ハワード監督の「フロスト×ニクソン」もぜひ感想を見たいです、新作映画も公開ですね。
最近、映画館離れしてましたが、このブログを読んで、足を運んでみたくなりました。
また立ち寄らせてください。
ありがとうございました・・・長文すみませんでした。
roseさん
コメントありがとうございます。unextは意外といい作品あるので、作品選びさえ間違えなければかなりおすすめです。お金を払って視聴する前にぜひ作品のレビューをここで読んで参考にしていただけたら嬉しいです。
リクエストに応えてくださりありがとうございます。
私も周りの者に流されて2度目の鑑賞をしました。
ところが今回は自分でも驚くほどすんなりと物語を受け入れられ、音楽もうるさく感じなかったです。
内容を理解しているため余裕があり、初回では見落としていた箇所に気付き、映像の美しさをより堪能できて良かったです。
リピーターが多いのも納得ですね。
またリクエストさせてください。
tkoさん
2回も見るってすごいですね。映像、きれいでしたね。また、リクエストしてくださいね。
大ヒットしてて、自分の周りも『とてもいいよ!』って言うもんだから、見に行ってません。見逃した映画のネタバレを探しててたどり着きましたが、辛口批評がとても素敵だと思いました。
そんな中、君の名は良かったと言うので…やっぱ見に行きます。
ちいこいさん
コメントありがとうございます。新海誠監督のほかの駄作を見てから視聴したせいもあってか、この映画はとても完成度が高いと思いました。
やっと見てきました。「君の名は。」
公開からかなり経っているはずなのに混雑していて、まずビックリ!
始まって30分ほどは、アニメに慣れていないせいかそれほどの印象もなく「見て失敗したかなぁ?」と思っていましたが、徐々に物語の中に入り込んでました。
時間軸の違いがあることでハナシが込み入って、理解するまでに時間がかかったみたいです(汗)。
映像がとても綺麗でしたが、アニメならではの世界なんでしょうね。
ラストの部分は映画男さんが仰るように、必要ないかもしれませんでしたね。
でも、心に残る映画でした。(66点は納得です(^_-)-☆)
かめさん
コメントありがとうございます。まだ映画館混雑してるんですね。ラストはかなり引っ張ってましたねえ。
久しぶりに泣いたかもしれない(笑)。飛騨の糸守(架空らしいけど、飛騨高山か諏訪湖あたりがモデルらしいね)と東京の視点が非常に効いてましたねー。特に、口噛み酒や組み紐、そして二葉、三葉、四葉という名前も、方言も、日本的な情景も聖地巡礼を催すような喚起と、時空の捻じれから彗星災害への結び目も、男女の入れ替えを含めて使い古された手法(ベタですよね)が、一発逆転の脚本力でグイグイ引き込む。見事でした。事前の予備知識殆どなしでしたが、かなり驚きました。御神体のシーンは澄んでましたねー。名前を忘れていく代償として、糸守の住人が救われて滝くんが理由も解らずそのニュースが気になって仕方が無い、という終わり方だと余韻が強かったかなと個人的には思いましたね(笑)。まさしく、ファンセオリーが果てしなく続きそうで。
なんて事を帰りの電車んなかで思いながら映画男さんのブログみたら、似ていたので、わざわざ思わず書きおこしましたが。いや、罵倒してると思ったので、それも驚きましたよ(笑)。最後は会わなくても想像に委ねて欲しかったねーと。
Amazon購入したんですが、Kindle専用みたいで読めないんですかね(笑)。Kindle持ってないんだよなー。購入しよかなー、意欲はあるので。まーそのうちAmazonもコメントしますよ。
加藤さん
コメントありがとうございます。この作品はストーリーと脚本がしっかりしていましたね。
電子書籍わざわざご購入していただきありがとうございます。kindleを買わなくても、スマホのアプリからも見れるので、アプリをダウンロードしてみてください。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.amazon.kindle&hl=ja
https://itunes.apple.com/jp/app/kindle-ren-qino-xiao-shuoyamanga/id302584613?mt=8
びっくりする位つまんな過ぎてドン引きだった
糞寒い掛け合いにクドイ演出、薄っぺらいストーリー
よくこんな汚物に60点以上も付ける気になったね(笑)
どこからお金貰ったの?
じゃ無ければ良く批評家名乗ってられるね?恥かしく無い?(笑)
万人受けする恋愛ストーリー。
科学的根拠とか関係なしに時間軸と人を行き来する、「時かけ+転校生」の新解釈版として捉えました。
ベースにみんなが見たことがある物は、すでに認知度も高く、絶対的に合えない状況の恋愛物は燃えること必須で、原作は知らないが売る気マンマンで製作したとしか思えない。
基はどうあれ、演出が良かったせいもあり、3回見て泣きまくりました。
年取ると女性化するのか、この辺の映画は弱いです。
他人に躊躇なく進められる、いい映画だと思いますね。
サンパウロでの上映を楽しみにしていますが、いつか来るのでしょうか・・・
Aiuさん
今のところ上映が決まってないみたいですね。もしかしたら映画祭とかで来るかもしれませんが。
Aiuさん
君の名は、10月にサンパウロで上映されるようですよ。
http://novosite.cinemark.com.br/filme/your-name
これが60点とか狂気の沙汰じゃないわ。
どこかと契約でもしてるのかな?
魂を売っていないと言えないコメントばっかりだわ。
多少の商売っ気は出ているどころじゃなかったぞ。
露骨だったじゃん。バランスが取れていると発言する
度胸もすごいね。さすがに気色悪いわ。
私のなかの苦手な設定の中に、人と人の入れ替わり、と、タイムトラベル、があって、この二つは、相当慎重に扱わないと、この設定のせいで、なんでもあり映画になってしまって面白く無くなってしまう気がしてなりません。
タイムトラベルモノも、人間入れ替わりモノも、だいたい観ません。
そしたら、これはその私の2大苦手設定が盛り込まれていて、面白かったと言えたらよかったのですが、まるっきりつまらなかったと言わざるを得ませんでした。
残念でした。
確かにタイムトラベルと、入れ替わりはかなりリスキーありますよね。この映画は、そういう意味ではかなり今更感のある設定で勝負しているけど、それでもなぜか面白かったので、逆にすごいと思えました。
私は三葉が滝とのやり取りにより自分の外に意識を向けるように変化したところが好きなのですが、三葉が隕石墜落のときに父を説得するシーンが作中に描かれなかったのがとても残念に思ってます。そこは観客の受け取り次第にするのではなく作品として監督さんの考えを出して欲しかったです。
小説に書いてるのかな?と小説版も気になってはいるのですが描かれて無かったとき手玉にとられている未来が悔しくて手が出せないです。
いつもかゆいところをガリガリかいてくださる評価に癒されております。
「秒速5センチメートル」の評価に「やっと『なんかよくわかんないんだけどすごい泣ける!!気付いたら泣いてた』のような信者ではない評価される方を見つけられたと思ったのですが、66点もつけますか。
自分は「君の名は。」しか観ていないからかもしれませんが…
確かに口噛み酒や伝統工芸品を絡ませた部分はよかったと思います。
しかし、体が入れ替わって初めてのリアクションが、尿意を感じた体滝中身三つ葉の辺りとか、ウブな生娘に性的サービスを要求しているおじさん(新海誠)に引きました。
尿意我慢と陰部を触らせる、一度で二度嫌らしい、気持ち悪い…としか…その描写は必要だったのか。
なら朝勃ちと生理も体験してほしかったです。
体滝中身三つ葉の際のバイト中に先輩の仕事着を縫って直したせいでタバコ吸う姉御系先輩から好意を持たれるわけですけど、逆の時は大したこともなく。別に百合百合されても胸焼けするだけですし、なくてよかったんですけども。
繋がる為に滝が口噛み酒を飲むとき、三つ葉が「関節キス…」みたいにわたわたしてますが、結構な量の雑菌が繁殖しているだろう部分でも、これが繋がる唯一の希望かもしれないとド真面目に取り組んでる滝に何欲情してるんだろうとまた引きました。
曲が作品にあっていると聞きますが、彼らは前世は特に関係なかったと感じました。結構曲は新海誠側が何度もボツにしたと記事で読みましたけども。
入れ替わったことを描きたいのか、彗星救助を描きたいのか、恋愛を描きたいのか、古き良き日本の田舎を描きたいのか…
特に何をしたわけでもない二人が惹かれ合う理由がまずよくわからない。何故彼らだったのか、何故時間差があったのかもよくわからない。
「都会に憧れる田舎の女の子」のかわいいウブなとこ萌えの妄想が膨らんでぱんぱんになったから話にしてみただけの非常に気持ち悪い作品だなと思ってます。
田舎だからって女子高生が服のほつれ脱がせてまで繕ったりしないと思いますし。かわいい刺繍までささっとできません。先輩も新しいユニフォームを新調すると断る方が無難です。普通これでレイプされても先輩にも非があるように思われるかもしれません。
ですので、映画さんが「秒速5センチメートル」への評価に用いた「オタクの妄想の塊話」を、自分はこの作品にもどっぷり感じました。
この作品はまだまだましな方だったんだということを知れたことが唯一の救いでした。
この作品はまだまだましな方ですよ。
映画男さんこんにちは。
本作は何度か鑑賞していますが、昨日の金ロー公開で改めて観てみました。
確かに、この監督作品の中では、「最後まで見れる作品」だったとは思います。従来の作品にあったようなキザなポエムも少なく、RADWIMPSの劇伴も、前のめりで背中を押される感じは伝わります。
他の方も仰っているように、新海監督の作品は「妙な性癖描写?」があるので、そこは人を選びますよね。でも、本作はまだ「マシ」だったというのも同意です。
何より、瀧三が入れ替わることで、本人の人となりだけではなく、お互いの人間関係を知り、最終的には糸守町の人々を守りたい・救いたいという気持ちになったことは、自然な流れだったと思います。
もうすぐ新海監督の最新作が公開されますが、本作を超えるのか否かはわからないですね。(私は前作のダメージがまだ大きいので、観るかどうかは周囲の評判や興行収入次第です。)
もし、映画男さんがご覧になったら、ご感想を聞かせてくださると嬉しいです。
新作、おそらくこの作品は超えられないでしょうね。いずれにしろ見たら感想書きますね。
お返事ありがとうございます。そうですね、過度な期待はしないことですかね。映画男さんのご感想も楽しみにしています。