北朝鮮から治療のために日本に帰国した兄と、その家族たちによる人間ドラマ。スローでアイデアや展開に欠けるものの、北朝鮮の情勢や文化が覗ける作品で、可もなく不可もなくといった感じです。55点(100点満点)
かぞくのくにのあらすじ
日本に住むリエ(安藤サクラ)と帰国事業で北朝鮮へ帰った兄ソンホ(井浦新)。離れて暮らして25年が経ち、ソンホが病気の治療のために日本に帰国することになった。期間は3か月。家族や仲間はソンホとの再会を喜ぶ一方、担当医には3か月では治療は不可能と告げられる。しかし、滞在延長を申請しようとした矢先、本国から「明日帰国するよう」と命令が下り……。
シネマトゥディより
かぞくのくにの感想
ストーリーも演技も悪くなく、普通に見られる映画です。ただ、面白いかというと面白くはないですね。衝撃のエピソードがあるわけでもなく、いいセリフが出てくるわけでもなく、意表をついた展開が待っているわけでもなく、予想通りに終わっていく映画です。
物語は、25年前に北朝鮮に移住した兄ソンホが治療のために特別な許可をもらって日本に帰ってくるところからスタートし、痩せて無口になった彼を日本の家族が迎え入れ、ひと時の時間を家族団らんで過ごす、というものです。
日本滞在中、ソンホは北朝鮮の担当者から24時間体制で監視され、東京からも出てはいけないと指示が与えられます。また、妹のリエをスパイにするために勧誘するように上層部から強要されたりと、いかにも北朝鮮らしい不自由さを経験します。
特筆すべきエピソードといえばこれくらいで、あとは日本と北朝鮮をまたいで離れ離れになっていく家族の葛藤と悲しみをスローなテンポで描いていくだけです。
できればもうちょっと衝撃のエピソードが欲しかったですね。メディアの発達のおかげか北朝鮮の仰天エピソードももうかなり出尽くしたんでしょうか。もっと気味の悪い話あるでしょって思いましたね。
会話の中でチエが父親から、日本人との結婚も、韓国人(非北朝鮮人)との結婚も、アメリカ人との結婚も反対されている、といったようなことを言ったんですが、在日朝鮮人と在日韓国人の間にもまた日本人では知りえない摩擦があるのでしょうか。その辺の在日コリアンの複雑な感情や意識を掘り起こしても面白かったんですけどね。
キャストの中には「百円の恋」の安藤サクラ、「息もできない」のヤン・イクチュンなどが出演していて二人の絡みも見られます。ただ、どちらかがハングルで、どちらかが日本語で話していたので、あまりかみ合っていなかったですね。
褒めるとしたら、デブのオカマを演じた俳優(省吾)の演技がリアルだった点でしょうか。彼が主役で、あのキャラのまま北朝鮮から帰国したというストーリーだったらどうなっていたのかなあと想像するだけでもワクワクしてきます。向こうではあのピチピチのシャツを着てもいいのかなぁ。
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