お坊さんになった青年の寺での仕事や生活を描いた当たり障りのない物語。お坊さんあるあるで埋めつくされた前向きで暢気なストーリーをNHKドラマのような演出で仕上げた作品。41点(100点満点)
ボクは坊さん。のあらすじ
祖父が他界したのをきっかけにそれまでの勤め先を辞め、四国八十八ヶ所霊場第57番札所の栄福寺住職となった白方光円(伊藤淳史)。24歳で足を踏み入れた坊さん生活には、初めて見る坊さん専用グッズや檀家の人たちとの関係など、知られざる驚がくの世界が広がっていた。さまざまな経験を積む中、自分にどのようなことができるのかを日々考えながら過ごしていく。
シネマトゥディより
ボクは坊さん。の感想
祖父が亡くなったのを機に若い青年が住職になる話で、お坊さんの日常をときにコミカルに、ときにシリアスに描いた、NHKの朝ドラのようなノリの話です。特に面白くもないし、つまらなくもないという微妙なラインを行っていて、見ても見てなくてもどっちでもいい作品です。
見所は、お坊さんの仕事内容やお坊さんあるあるぐらいでしょう。お坊さん専用のバリカンや会計ソフトが売っていることや高額の数珠を売りつけにやってくるセールスマンがいるとか、そのぐらいじゃないでしょうか。
もうちょっとお坊さんの金銭感覚や経済活動についても触れてもよかったですね。ぶっちゃけお金をいくら稼いでいるのかとか、一度の葬式でどれだけのお布施をもらうのかとか、またそれをどうのように使うのかなどのシーンがあってもよかったです。
なんだかんだで主人公のいい人エピソードを並べただけで、もうちょっと裏の顔も見せて欲しかったです。若干、邪悪な部分が見えたのは、幼馴染の旦那に詰め寄るシーンでしょうか。あの旦那は確かに最低だけれども、主人公と友達が恫喝する権限なんてなく、家族間で解決すればいい話です。それに幼馴染の子供を主人公が代わりに育てるなんていう下りも嘘っぽいですね。
演技もかなり微妙です。みんなセリフの言い回しが危なっかしくて、いかにもセリフ調に喋ります。主人公、友人、幼馴染の三人は特に棒読みにもほどがありますね。
実は僕の祖父もお坊さんだったので、この映画をついつい自分に置き換えて見てしまいました。そういえば子供の頃はよくお寺の本堂で遊び、お墓掃除なんかをやらされましたね。お爺ちゃんが住職を引退するとなったときは跡継ぎの話が自分にも回ってきて、お坊さんをやっている自分を想像してみたけれど、しっくりこなかったので辞めました。
日本はベンツを乗り回し、キャバクラに通い、合コンばかりしてる煩悩の塊のような住職ばかりが目立つのが嫌です。僕のお爺ちゃんも果たして立派な住職だったかと言うとなんとも言えません。タバコは吸うは、酒は飲むは、ギャンブルはやるはで、ごくごく普通の人間だったように思います。
あのときもし跡継ぎを引き受けていたら僕も今頃ベンツを乗り回すしょうもない坊主になっていたことでしょう。ただ、映画にするならどっちかというと、そういうしょうもない方のお坊さんを見たかったですね。そっちのほうが今の日本においては真実味があるから。
コメント
ファンタジーをさも本当かのように言うのは感心しませんね