大人気恋愛バラエティーの劇場版で、どうでもいい男女がどうでもいい恋愛を繰り広げる映画。真剣にはとても見れない代物だけど、コメディーとして見たら結構笑える、ただただ平和な男女の物語。50点(100点満点)
テラスハウスクロージング・ドアのあらすじ
およそ2年間を通じ、海辺のシェアハウスではトータルで22人の若者たちがそれぞれ夢を追い掛けたり、恋をしたり、あるいは苦い失恋を経験したりという日々を送ってきた。紆余(うよ)曲折はあったものの、彼らはその体験を胸に懐かしのシェアハウスから飛び立っていく。そんな中、てっちゃんこと菅谷哲也は自分なりの終着点を見つけられず、一人家に残されるが……。
シネマトゥデイより
読者のくくさんのリクエストです。ありがとうございます。くくさんからはこんなコメントを受け取っていました。
いつも楽しく拝見させていただいております。鋭い視点と言葉選びが気持ちよくて、それでいて映画への想いが伝わってくる最高のレビューサイトです。今後もニヤニヤさせていただきます。
あと、リクエストも受け付けていらっしゃるとのことでしたのでもしよければここ数年日本でヒットしている『テラスハウス』についてレビューしていただけますでしょうか。もう、コレをレビューしていただければ思い残すことはありません。墓場まで持って行きます。印刷して。
ぜひともこの文句を印刷して家の壁にでも貼っておいてくれたら幸いです。
テラスハウスクロージング・ドアの感想
お洒落な家で生活しながら、美男美女たちが”イケてる”デートを繰り広げる恋愛ドラマで、いかにも日本の若者受けしそうな内容です。この手のリアリティー番組というのは基本、視聴者は半笑いの姿勢で出演者たちを小馬鹿にしながら見るぐらいのほうが健全です。
しかし実際には本当に感動しちゃったり、うっとりしちゃったりして見る女の子とかも少なくないんでしょうね。若さとはまさにそういうものなので、それも仕方ないのかもしれません。
ただ、これに感化されて、この手の恋愛が日本のスタンダードだと信じ込む馬鹿者たちが増えそうで、少しゾッとしますね。本当に影響される奴いるからなあ、こういうのに。鑑賞後にさっそく恋人と雰囲気のいいレストランを予約とかして、サプライズでプレゼントとかあげてる奴いそうだもんなあ。
日本でテラスハウスが大人気を博したところを見ると、本当に多くの人が「お洒落」に狂っているのが分かります。そういう人たちのことを「お洒落モンスター」と呼びます。
お洒落モンスターたちがはびこる社会では男たちは眉毛を整え、室内でニット帽をかぶり、女たちはなんだか分からない「ファッション系の仕事をしています」というのがステータスだったりします。
お洒落モンスターのメスは最初のデートにビーチに行けば、その場ではニコニコしますが、後になって友達に「せっかく可愛い服着ていったのにいきなり砂浜に連れていかれてさぁ、靴が剥がれちゃってぇえ、まじ最悪なんだけどぅ」とか言い出します。
「それでさあ、挙句の果てには夕食にラーメン食べさせられてぇ、最初のデートでラーメンとかまじありえなくない?」。
興味のある男と楽しい時間を過ごすことよりも、自分の服が汚れることのほうが心配なのです。対するお洒落モンスターのオスは、こんなことを直接言われても逆上することは決してなく、素直に自分の非を認めて謝罪する始末です。そして自分の何が悪かったかをこんなふうに考え直すのです。
「そっかさすがにビーチはまずかったか。それにラーメン屋もダメってことはじゃあ次はもっとちゃんとしたレストランに連れて行けばいいんだな。服もびしっと決めて、クリスマスの夜にいいムードも作っていけば落とせるってことだな」。
ここで言うオスとメスとは菅谷哲也と松川佑依子の二人を指しますが、結局この二人のための映画だったと言っても過言ではないでしょう。
松川佑依子は散々期待させておいて、クリスマスにデートまでしているのに、あっさり菅谷哲也を振ってしまうという悪女ぶりが最高でした。
菅谷哲也はスーツも用意して、夜景のきれいなレストランも予約し、高いプレゼントも買ったのにキスすらさせてもらえないという、可哀相すぎる男で、どうせならプレゼントは可愛い手袋とかじゃなくて、封筒に札束入れて「これで一回やらせてください」とかのほうが案外いけたような気がしますね。
これを見てると、日本の男は本当にナヨナヨしてきてるんだなあ、と思いましたね。基本、女たちは常に上から目線で、男たちはなんでも許しちゃうみたいな感じじゃないですか。なんで誰もキレないんですか。
唯一、男の中で善戦したのは島袋聖南の彼氏の伊東大輝ぐらいじゃないですかね。
「俺はまだ学生で半人前だけど、あと2年学校行って卒業したら、ちゃんと仕事もして、一人前になったら結婚したいと思ってるから」。
こんなマジな台詞をガムを噛みながら言うっていうね。あの真剣なのかちゃらんぽらんなのか分からないぐらいの感じが男らしいですね。僕が島袋聖南だったらガム噛みながらのプロポーズは断りますが。
一番、笑えたのは、今井洋介とデートをしていた和泉真弥まで誰も告白なんてしてないのに、「洋さんとデートしてきてすごく楽しかったんだけど、でも色々考えたらやっぱり洋さんが離婚もしてて、子供もいるところとかにひっかかって、男性という目では見れなかった」とかほざきだしたことでしょうか。あれは笑いと共に冷や汗が出ました。
最初から離婚もしてて、子持ちでいることも知ってたくせに、いまさらそんなこと本人に言いますか? 今井洋介にしたってこいつのこと好きだとか一言も言ってないのに、基本自分は愛されてると思ってるあの幸せな解釈。もちろんそんな彼女の夢はデザイナーになることです。だってお洒落モンスターだから。
菅谷哲也にしても、今井洋介にしてももっと怒っていいと思いますけどね。なんならビンタのひとつぐらいお見舞いしてやればいいんですよ。でも無理でしょうね。お洒落モンスターオス代表の菅谷哲也が着ている服を見たらそれがよく分かります。
「OBEY」って。ストリートファッションのブランドですが、そのコンセプトはさておき、英語では「従う」とか「言うことを聞く」っていう意味になるんで、まさに彼にぴったりですね。こんなのをニコニコしながら着てたら、そりゃ女に振り回されるわ。
コメント
最後のオチで笑いました。ニコニコしながらw
今後も100点の映画に出会えるようブログ続けて下さいね!
ちなみに僕の100点は『ハイフィディリティ』です。
レビューありがとうございました。
くくさん
リクエスト&コメントありがとうございます。『ハイフィディリティ』は僕にとっても好きな映画のひとつです。
笑いました!
最高でした!
是非とも早送りで観てみたいと思いました。
楽しんでいただいたようでなによりです。