メキシコの麻薬犯罪をテーマにした臨場感と緊張感がやばすぎるクライムアクション。実際にあってもおかしくなさそうな警察組織の裏側や麻薬カルテルのエピソードの連続で、ベニチオ・デル・トロが怪演しています。77点(100点満点)
ボーダーラインのあらすじ
優秀なFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、メキシコ麻薬カルテルの全滅を目的とした部隊に入り、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)のもとで極秘任務に就く。ケイトは早速、謎めいたコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近の捜査を開始。人が次々と亡くなる現実を突きつけられたケイトは……。
シネマトゥディより
ボーダーラインの感想
「複製された男」、「プリズナーズ」、「メッセージ」、「ブレードランナー2049」、「静かなる叫び」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の麻薬犯罪ドラマ。
やり手の女性FBI捜査官がアメリカとメキシコの国境を跨いだ極秘任務を遂行する刑事ドラマで、「トラフィック」を彷彿させる、ハラハラドキドキの展開が続きます。
麻薬カルテルのボスがいて、彼の右腕がいて、下っ端がいるといったように敵キャラの設定はとても分かりやすく、その点については複雑化した麻薬組織の現実とはかけ離れているでしょう。それでも大量の死体が田舎の一軒家の壁に隠されていたり、極秘任務のオペレーションだったり、国境付近に掘られたトンネルだったり、メキシコだったら実際にありそうなシーンが多いため、かなり引き込まれました。
主役のケイトが適度に美人で、色気があるのが良く、途中で上手い具合にストーリーの中にベッドシーンを絡めてきます。シーン自体は大したことがないのですが、FBI捜査官ともあろう女が案外簡単に心のスキを見せてしまう下りが無様であると同時に色っぽかったです。
正体が終盤まで明らかにされないコロンビア人と彼女の関係性がまた絶妙で、特にコロンビア人を演じたベニチオ・デル・トロの演技はすごかったですね。ベニチオ・デル・トロってなんか色気もあるし、男臭くていいですねえ。
しかし敵のアジトに彼が一人で乗り込んでいく辺りからは急にリアリティーを失いますね。犯罪組織の本部に一人で乗り込んでいく奴なんてスティーブン・セガールぐらいですよ。バカじゃないですか。なんであそこを漫画チックにするのかなぁ。ただ、それでも全体の評価を下げるには至らず、エンターテイメントとして十分に楽しめました。
「皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇」でも描かれているように最近のメキシコの麻薬抗争は異常事態で、早いところ国際社会が介入しないと大変なことになるんじゃないでしょうか。最近の国際社会の話題といえばイスラム国ばかりですが、むしろアメリカからしたらメキシコから流れてくる麻薬と、麻薬をめぐる犯罪のほうがずっと深刻なような気もします。
コメント
トンネルと聞くと大脱走を思いつくほどの年ですが、これはなかなか面白かったです。メッセージやブレードランナーの監督だったとは意外でした。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、SFじゃないほうがいいですよね。
トラフィックのデルトロとエミリーブラントが出てるので、これは!と思って観ましたが、始まりの突撃、壁の死体、ティファナでのぶら下げ死体、高速道路の戦闘、アレハンドロが復習のため妻子撃ち標的撃ち殺し、エミリーブラント口封じするとこなど、今までにない、とんでもない感じが、物凄く面白かったと思いました。ジョシュブローリンとデルタフォースの仲間たちにもリアリティを感じました。
復讐でした
>しかし敵のアジトに彼が一人で乗り込んでいく辺りからは急にリアリティーを失いますね。
同意です。
ここ以外は良かったですね。
金も人手もあるのにあんなザル検問無いですわ・・・・・・
ドラマなら今どき街の犯罪組織でもボディチェックと遠隔操作の二段式でチェックしてくれるのに。
あの下りだけ漫画ですね